
台湾が恋しい人たちへ。チャクラスープ「仏跳牆」。

アスター日本橋紫苑
俗称ぶっ飛びスープと名付けられてしまった仏跳牆を、私は密かに「チャクラスープ」と読んでいる
福建省発祥の料理だが、台北で初めて食した時、私の第三の目が開いたからだ
第三の目だけでなく、全身の毛穴までもが開き、海と土の、押し寄せていくる地球の旨みを全身で体感したようだった

銀座アスター日本橋紫苑の壺蒸しスープは伝統的なものをアレンジしている
牛肉を長時間煮出した湯がベースとなり、四大乾貨と呼ばれる参鮑翅肚、フカヒレ、なまこ、アワビ、魚の浮袋がふんだんに使われ、戻し汁も余すことなく使われるそう
この美しいフォルムの壺によって封じられていた壮大な香りが、蓋を開けた瞬間、解き放たれるのだ (ジーニーは出てこない)

壺の中の乾貨をれんげでひとつひとつ掬って、それぞれの味わいを堪能していく
とても濃厚ながらに塩気はとても控えめで、上品で滋味深く、一度食べたら脳裏から離れない味だ
この馥郁たる香りを嗅いでしまったら、そりゃお坊さんも堀を超えて飛んでくる
壺の底が見えたら、きっとあなたの世界の色も姿も変わっているよ
料理とジュエリークリエーションの根底にある哲学は似ている
食べてもらう人、身につけてもらう人への愛情の深さで価値が決まるからだ
ただ、生き延びるだけの食事と自分の内側を取り戻す食事は違うのだと思う
忙しなく生きる毎日で、ただ胃袋を満たすだけに口に運ぶ食事も多々あるし、生かされていることに感謝するが、目をつぶって、ゆっくりとゆっくりと口に運んで鼻腔、味蕾、胃袋、そして心へと届けていく
心を食べる食事は、離れ離れになっていた心と体を引き合わせてくれるんだ
―あとがき―
突然ながら、今回でブログは最後となります
リニューアルされるfigaro.jpもとても楽しみです!
私が紹介してきた台湾料理は、あくまでも母を通じて培われた私の主観で選んだものです
「本来の台湾を感じるか?」をテーマに選んできたお店たち
台湾が恋しい人たちへ
このブログが少しでも笑いを......じゃなかった
希望や愛を届けられますように
大家要幸福哦
台湾をいつも想っています
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