モダン茶寮のさまざまなブラウン
マザーテレサの言葉に気をつけなさいと言う詩がふと脳裏をよぎる時がある。
心がささくれ立ってきた時や、黒い小さな雲が胸の中でどんどん大きくなって竜巻になりそうな時。
邪念を取り払おうと、坐禅を組みに行ったこともあるが、そうそうさらりと行けるものでもないので、そんな時は茶寮に足を運ぶ。
都心の私の隠れ蓑である「櫻井焙煎研究所」で、熟成させたほうじ茶ラムをソーダで割ったものと菓子の棗バターをいただきながら、台北にあるモダンな茶寮「LIQUID AMBRE」での出来事を回想していた。
モルタルの階段を登ってニ階へ上がると、茶色の透け感のあるカーテンで薄暗く演出された色香のある空間が広がっている。
カウンターはAMBRE=琥珀のような色合いで、モルタルの階段の一部にも琥珀のような樹脂が塗られ、モダンなユーモアを感じる。
こちらではお茶のカクテルにチーズ(!)もいただける。
初恋の来た道にでていませんでした? と聞きたくなるような、つやつやした黒髪の、初々しい台湾人女性がにこやかにお茶を入れてくださるのも、なんだか、うん、いい。
ちょうどその日、友人が紹介してくれたオーナーのカレンが来てくれて、少し話をすることができた。
「チーズとお茶はとても合うのよ! 私とパートナーはいつもお茶とチーズを自宅でいただくの」とうれしそうに話してくれた。好奇心に満ちた女性だ。
店内に入る前からブラウンの香りに包まれる、櫻井焙煎所のインテリアもブラウンが基調だ。
銅であしらわれた煌めいた壁、スクラッチが掘られた漆黒のカウンターには小さな水琴窟を思わせるような仕掛けもあり、躙口まで銅で仕立てられている。
私がグラスを揺らしながらぼうっとしている間も、白衣の紳士達が八面六臂の活躍でほかの客人にお茶を淹れていた。
定期的にお邪魔して、壮大な時間芸術を楽しませていただいている、大大大好きな茶寮「菓子屋ここのつ」のお菓子もこちらでいただけるので最高である〜(不定期入荷なのでお気をつけ下さい。)
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台湾茶をいただくなら、自由が丘の「蓮月庭」。
緑に囲まれた店舗は、カジュアルな雰囲気で入りやすく、台湾茶も気品感じるほど美味しい。
なかなか日本では味わえない油飯もいただける。(そしてすべてヴィーガン仕様!)
この日は凍頂烏龍茶が添えられていた。みずみずしく喉を潤してくれる。
豆花の回では記載していなかったが、こちらの豆花がすごい!
ブラウンのテーブルの上でみずみずしさが弾けている!
シロップの絶妙な甘さとピーナッツの完璧な歯応えとふくよかな香り、想像を遥かに超えた喉越しの爽やかさは、ほかでは味わえない言葉をなくすおいしさだ。(書いていたらまた食べたくなった……)
先のコレクションで禅語「喫茶去」とアルファベットで掘り込んだ練り香水のケースを作った。バッグに忍ばせて指先でそっと掬い上げて香りを楽しむものだ。
慌ただしくすぎていく毎日の中、少しだけ音も時間も映像も、止まったように感じる、そんな小さな事が私には必要なのだろう。
茶の香り、淹れる音、所作から芳醇な味までを五感で楽しむ茶寮で過ごす時間は、私にとっては、琥珀色に包まれた香ばしい静謐な時間であるようだ。
台北と日本のもう一つのお気に入り茶寮の話はまた今度。
・LIQUID AMBRE (姉のブログに詳細が載っています)
106 台湾 Taipei City, Da’an District, Lane 72, Leli Rd, 15號2樓
・櫻井焙煎研究所
www.sakurai-tea.jp
東京都港区南青山5丁目6−23 スパイラルビル 5F
・蓮月庭
https://rengetsutei.jp
東京都目黒区自由が丘2丁目15−10 A&Dハウス 102
台湾のお店の写真は台湾在住の姉が撮影しています。
Instagramや、ブログ「台湾で食べまくり」を書いているのでお暇な時に覗いてみてください。
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