おしゃべりなうつわ

「あれ」が食べたくなったミニボウル。

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これは、鈴木絵里加さんの小さなボウルと小さなお皿。幼いころ、絵の具のついた筆を紙の上でパシャっと振ったらこんな模様ができるのを知って、夢中になったことを思い出す。あれは黄色や赤だったけれど、こちらは、大人なダークネイビー。ダルメシアン柄のようなところが好きで、お皿を先に買い、のちにボウルを追加した。なぜって、シャツもパンツもデニムを選んで着る時の「ちょっと揃えすぎか?と思いきや、こなれ感出ていいかも」という感じ、あれをやりたかったのだ。同じデニム素材であっても、色落ちとか質感とか、ものがまとうテンションが違えば合わせるのが難しいように、同じ柄のうつわを重ねる時には、柄と余白のバランスがものをいう。大学で建築を専攻したのち陶芸を学び、アクセサリーやオブジェも作る鈴木さんならではの空間認知だろうか、激しすぎず、控えめすぎずのいい塩梅のドット柄は、しつこく重ねることで佇まいを増す。食べもの越しに柄が透けたら素敵だな、と個展の帰り道に、あんみつとみつ豆を買いました。

[ある日のうつわ]

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みつ豆を食べる。スプーンレストにした小皿も鈴木さん。スプーンは竹俣勇壱さん。

241102_erikasuzuki_02.JPG散りばめられたネイビーのドットは、染付に用いられる吹墨(呉須を吹きつけて模様にする)の技法に近い形で施される。偶然の連続が模様の重なりを生むのだ。

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作り手:鈴木絵里加 @svzvkierlca89
購入した年:2024年
購入場所:oku, deps tokyo

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

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