おしゃべりなうつわ

私の嫁入り道具、土鍋三兄弟。

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これは我が家の土鍋三兄弟。冬になると棚から出してキッチンに重ねておく、いつでも使えるように。一番上は、十場あすかさんの耐熱一人鍋。どんぶり型の本体と取っ手が一体になっている上に、その取っ手が平らなのでとても持ちやすい。アツアツ、グツグツかつ、汁たっぷりの鍋焼きうどんをテーブルに運んだ時、その機能性の高さに驚いた。「アイスクリン」みたいに美味しそうなたまご色もたまらない。とろとろの卵がゆ、ネギたっぷりのお出汁にお豆腐と油揚げなど、やさしい色味の献立ばかりが頭に浮んで、それだけでもぬくぬく。真ん中は素朴な鉄絵が好きで実家から連れ出した伊賀の土楽窯の片手鍋。貫入(ひび割れ)に色がついていい感じに育っているので、みかんやお煎餅を入れて置いておくことも。一番下は土楽窯のハンドル鍋9寸。実家で使っているのと同じものを、嫁入り道具として持たされた。つまり私の知る「お鍋の日」の光景は、物心ついた時から変わっていないのだ。テーブルの真ん中でずんぐりと存在感を放つこのお鍋の傍らに、白菜と豚バラがメインの具材、薬味いろいろ。鍋が大きいのでちょっと覗き込みつつ、お玉でたくさんすくってよそう所作。寄せ鍋、チゲ鍋、きりたんぽ鍋、しゃぶしゃぶ、炊き込みご飯などなど......。育った家とこの家の記憶が混じり合ってあったかい。

[ある日のうつわ]

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いただきものの土鍋ごはんセットを炊いた日。

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どこまでもたまご色のしあわせ。

241207_donabe_07.jpg和の土鍋でチゲもいいものです。

241207_donabe_05.JPG実家から引き継いだ片手鍋は、貫入が綺麗に入っていてお気に入り。

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作り手:十場あすか、土楽窯
購入した年:2021年、2003年ほか
購入場所:mother dictionary , 暮らしのうつわ 花田

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

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