
忙しい朝の時短もかなう、木のうつわを育てるたのしみ。
これは富井貴志さんのウッドプレート。
栗の木の木目がダイナミックなところと、しっかりと厚みがあって、普段使う丈夫なマグカップやカトラリーとよく合うところが気に入っている。カトラリーをあてたら傷ついてしまうのでは? という心配はご無用。以前、富井さんに取材で話を聞いた際、北欧アンティークの木皿のコレクションを見せてもらったことがある。表面にいくつもナイフの傷や欠けがあるものの、木肌にしっとり馴染んでむしろかっこいい。しっかりと使われた跡がものに存在感を与えていた。そういうものに「憧れて作っている」という富井さんの言葉に乗っかって、そういうものになるまで「このプレートを使ってみようじゃないの」と私の心は動き、いまにいたる。
のせるのはおもに朝食のトーストやパンケーキ、スクランブルエッグ、フルーツ。ナイフで切ったり、フォークで挿したり、臆せず使っている。朝食にちょうどいい理由が、もうひとつ。「魚や肉料理、ドレッシングをかけたサラダなど油を使ったものを盛り付けた時以外は、洗剤で洗わなくてもO.K.。洗いすぎると油分が抜けて木が乾燥してしまうから」とご本人がいうのだ(詳しくはこちら)。やってみると洗剤を使わず、水で流すだけというのは、予想以上に楽ちんだった。そのまま放置しても構わないが、拭いてラックに立てかけるまでものの30秒。ワンステップで終了するし、軽くて割れにくいから子供が小さい時も安心だった。キャンプにも持ち出したなあ。
使い始めてやっと7年、この頃は、ナイフの傷もいい感じになじんできたし、メープルシロップやサラダのオイルのシミもついて、あの北欧の皿とまではいかないけれど、いい感じに育っている。表面のカサカサが気になってきたらオリーブオイルを塗りこむとよいそうだが、あんまり気になることはなく、これまで数回塗った程度だ。木のうつわを育て使い続ける未来には、どんな暮らしと感情が待っているのか、それもまた楽しみ。
[ある日のうつわ]
パンケーキは、必ずこのプレートで食べる。木は食材の水分を吸い取ってくれるので、焼きたてのパンケーキやトーストがべちゃべちゃしないとよく言われます。
毎週水曜と週末の朝はパン食なので、週に2~3日は必ず使うはずと計算した上で購入。木工品は陶磁器以上に長持ちするから、どんなシーンで使いこなしたいか日頃からシュミレーションしておくといいと思う。
ナイフの傷やシミもなんのその、7年かけて少しずつ表情が増して、もはやなくてはならない存在。
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うつわディクショナリー#19 富井貴志さんの毎日使ってこその木のうつわ
作り手:富井貴志 @takashitomii
購入した年:2018年頃
購入場所:桃居
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