
たわわな紫陽花には、シリンダー型の花器が優秀。
これは野口寛斉さんのJOMONシリーズの花器。
墨で描いたような情緒的な線とシリンダー型のクールなデザインのコントラストをいたく気に入ってしまった。底面は決して大きくないが、軸がしっかりしていて安定感がある。高さの半分くらいで少し外に広がり、口に向かってややすぼまっていくこの形は、花を挿すととても機能的なことに気づく。内側の壁が斜めだからだろう。茎の先端がほどよく止まり、例えば花弁の大きな紫陽花であっても、思い描く理想の位置に茎をステイさせることができるのだ。だから一輪でもちょっと主張のある生け方ができる。口径と側面のカーブの関係性がうまくいっていないと、こうはならない。さすがである。
野口さんのJOMONシリーズは、大壺や大胆なくびれのある花器などアート性の高い作品が近年評価を得ている。この花器はずいぶん前に購入したものだけれど、家庭で使いやすいコンパクトなピースにさえ、地球の軸と繋がるような神聖な佇まいと、入れるものを美しく見せるうつわとしての機能性を共存させたものづくりをされてきた凄みが、大きな作品にもたふたふと漏れ出ていて好きだ。
[ある日のうつわ]
このように、内側の壁に茎の先端を押し付けつつ、口径のふちに沿わせて止める。口と壁の構造が絶妙なのだ。茎の先端は斜めに切っておくと内壁にほどよく密着します。
2〜3本挿すときは、こんなかんじ。グリーンとの相性もとてもよい。
墨絵のように線がかすれて白地がのぞく、情緒のある景色に心が落ち着く。
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作り手:野口寛斉
購入した年:2022年
購入場所:lapin art @lapinartoffice
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