
各国の青と手をつなぐ、新しい白釉
これは山田洋次さんの白釉皿。
私は、うつわができあがるまでのプロセスをこと細かに作家に聞き、窯の中で土が赤々と熱される様や釉薬が溶ける様子を妄想するのが好きなほう。だけどこのシリーズに関しては「そういうことは、ずっと後に聞けばいいや」と思ったほど、展示台にずらりと並んだ、ベースは同じ白のはずなのに、それ以外の色も発色させてしまう釉薬と窯の火のマジックを、ひとつひとつ異なるうつわの上に確認することにのめり込んだ。釉薬を掛けて焼いた後、もう一度窯に入れて燻すことで出る表情とおっしゃっていたと思う。
表面はモコモコと雲のように柔らかく見えて、手に取るとビスケットのようにカリッと固く焼かれたボディ。真っ白、黄味がかった白、ブルー、焦げついたような茶と貫入。背面に流れこんだ釉薬とそれを受ける赤茶色のザラザラとした面。焼物の不思議を全部詰め込んだような在り方に興奮しきりだったあの日の記憶は鮮明で、いまも食器棚から出すたびにドキドキする。面白いのは、このお皿をテーブルの真ん中に据えることで、和の染付も、安南手も、アンティーク調ブルーの洋風カップも仲良く混じり合うこと。一見個性的だけれど、実際は一歩引いて出自の異なるうつわと手を繋ぎ調和をもたらす、ふところの深いうつわなのだった。驚いた。
【ある日のうつわ】
ところどころにブルーが混ざる白に、和、洋、安南など世界の青が調和してコーディネートが楽しい。
静物画のようにフルーツを盛り付けたり。
作り手:山田洋次 @yamadyoji
年代:2022年
購入場所:目白
ARCHIVE
MONTHLY
BRAND SPECIAL
Ranking