
白米を大事に美味しくいただくルーティン。
これは「美作(みまさか)めんつ」のおひつ。面桶(めんつ)と書く。炊いたご飯を保存する曲げわっぱだ。
岡山県の美作地域で採れる檜を側面に、杉を蓋と底に、山桜の樹皮を留めに使っていて、まず見た目がとても美しい。木肌は常に呼吸しているから調湿にすぐれ、冷めてもご飯がベタついたり、固くならない。抗菌作用があると言われ、ほんのり木の香がする。この香りが使ってからも続くことは、数年来、めんつの弁当箱を使っているからよく知っている。わっぱ弁当に詰めたお昼を初めて食べた学校帰り、長男が言った「すごくいい香りだね〜」という言葉と幸せそうな笑顔が忘れられない。このおひつは、そんなふうに弁当箱を愛用するお客様のリクエストに応えて生まれたものだそうだ。
よくわかるよ、その気持ち。だって、おひつというと大きくてしっかりしたものが多いなか、こちらはすっきり薄手でコンパクト。白飯二合用は、我が家のように圧力鍋で五合を炊いて、朝ごはんと弁当とおにぎり(捕食)を持たせたあと、鍋の中に申し訳程度に残るご飯を保存するにはちょうどいい容量だし、将来、夫婦ふたりで暮らすようになると想定すると、これくらいの大きさがベストだとも想像する。めんつならではの檜と杉が交わった爽やかな香りを気に入って、秋から春まで活躍している。夏場の猛暑のもとではさすがに使わなくなってしまったけれど、そのあいだは、中国茶の道具を入れたり。
【ある日のうつわ】
2合がちょうど入るコンパクトな大きさ。
お弁当箱とともに。檜と杉が交わる蓋の造りが美しいのです。
何度も出し入れしてシンデレラフィットを見つけた中国茶道具たち。
作り手:野間清仁
年代:2023年
購入場所:民藝展(日本橋高島屋)
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