Butterdrop Diary 『ロンドン郊外のカントリーライフ』

イギリスのおうち No.3  『失われた時を求めた家』

ロンドンの金融街シティの喧騒からひとつ角を曲がってすぐの場所にひっそりと佇むデニス・シヴァー邸は、博物館と言うより時が止まった異質な空間と言った方がしっくり来る場所。

1732年に建てられたこの館の重厚なドアを開けると、キャンドルの薄暗い灯りと暖炉の薪の燃える匂いに包まれて、一気に非日常の世界に引き摺り込まれる。

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出典:hellolovelystudio

英国に憧れてカリフォルニアからロンドンに移住して来たデニス・シヴァー氏が、廃墟と化していたこのタウンハウスを買い取ったのが1979年。そしてこの古い家をただ修復するだけに留まらず、

「『テキスタイル職人のジャベイス一家』という架空の家族が住んでいた」

という彼独自の構想と妄想を駆使して、ジョージアン時代のイギリスの暮らしが体感できる館を創り上げました。

ついでに彼自身も『ジャベイス家の執事』という設定でこの家に暮らし、ろうそくの灯りの下で質素な生活していたと言うんだから、まあ控えめに言ってかなりエキセントリックな人だったのでしょうね。

舘内のそれぞれの部屋には細部に渡って住人の面影とか、スピリットが感じられる演出が凝らされているので、リアルに『お留守中に覗き見しちゃってすいません』みたいな気持ちになってくるのが醍醐味。


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テキスタイル職人一家だけあって、絨毯やらカーテンが豪華な織物が全開のサロン。どこからともなく石畳の上を馬車が走り去る音も聞こえてくる。

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こちらはジャベイス夫人のお部屋。外したネックレスとか、香水の匂いとか、読みかけの本とか。
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このシャンデリアも例外なく全てキャンドル。消灯大変。

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一番上の階にはどうやら大家族の使用人一家が住んでいたみたい。

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地下のキッチンには、料理中だったようで野菜の皮やら牡蠣の殻が残っていたり。
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柔らかなキャンドルの光の中で、ジョージアン時代当時の静寂な時間と住人の息遣いがすぐそこに感じられるシヴァー邸。忙しい日常と膨大な情報に埋まってしまいがちな毎日から逃避できる、特別な空間です。

 

住所: 18 Folgate StreetLondon E1 6BX
Opening hours
Friday 17:00-20:15
Saturday 12:00-15:15
Sunday 12:00-15:15

 

ギャンブル五月

ニューヨーク州立大学卒業後、ウェストヴィレッジのマグノリア・ベーカリー本店にて6年間腕を磨く。ロックバンドのメンバーとして2度の全米ツアー後、渡英。現在は、田園風景が広がるロンドン郊外はケント地方、『Garden of England(イギリスの庭)』に暮らす。著書に『ニューヨーク仕込みのカップケーキデコレーション』『イギリスから届いたカップケーキデコレーション』(SHC)。日本カップケーキアカデミー代表。
Instagram:@satskigamble

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