
イギリスのおうちNo.5 『お一人さま仕様のコテージ』
シングルになったのを機に、ダウンサイズを兼ねてジャニスが築200年の小さなコテージに引っ越したのは4年前。
新たなスタートを切るため、30年間住んでいた大きな屋敷を売却した資金で手に入れたこのコテージを1年かけて徹底的にリフォーム。そのプロセスは、
「無心になれたので、傷心を癒すセラピーも兼ねていたかも」。
リノベーションとは言ってもやっぱりイギリス人、
『オリジナルの雰囲気を残す』
ことを念頭に置いて、建築家と入念に何回も打ち合わせを重ねた。キッチン、バスルーム、シャワー、そして床暖房も新設。
「夏でさえうっすらと涼しかった前の家とは大違い!」と嬉しそう。
リノベーションにあたって彼女が一番こだわったのは、なんと言っても省スペースを兼ねた収納場所。前の家から引き継いだ大荷物の終点場所に、狭い空間を有効に使った収納を全ての部屋に多く備えた。
「整理整頓が嫌いなので、とにかく至る所に収納スペースをこれでもか!と言うくらい作ったんです。だから散らかっていないでしょう?」
そんなジャニスの省スペースアイデアの数々は:
❶天井裏に設けたロフト収納。
❷トイレは壁全体が収納スペース。
❸ランドリールームを作るスペースがなかったので、お風呂場の引き戸の中にランドリーコーナーを設置。
❹ボイラー用のスペースの隙間も見逃さない!洗濯物干し場として使用。
❺キッチンカウンターの引き出しの中に詰め込まれた食器類。
引き出しの中は結構テキトー
❻「ここが一番自慢の場所なの」と得意げに見せてくれたのが、階段下のデッドスペースにすっぽり収まる機能的なミニオフィス!
三角形の棚と、アンティークの机に設置されたスライド式のデスクは特注。
膝パーカッション(©︎アルテイシア)ものアイデア
春夏秋をロンドン郊外のこの村で生活し、冬の間の3ヶ月は毎年娘さんの住むオーストラリアで過ごすという何とも羨ましいライフスタイルを送っているジャニス。
「前の家に住んでいた時は、オーストラリアにいる間にハウスシッターや庭師を雇って家を維持していたのだけど、今では近所の人たちに留守にすることを告げて、鍵をかけて飛行機に乗ればいいだけ。とっても気が楽です。」
って何を隠そう、私達夫婦がそのハウスシッターだった訳なのですが、ジャニスの広いお屋敷で過ごすイギリスの冬は薄寒くて落ち着かず、
「一人でこんな大きな家に住んで淋しくないのかなあ・・・」
とちょっと心配しておりました。でも、この小さなコテージでの新生活を始めてからは、徒歩でちょっとした買い物やカフェに行ったり近所の人との付き合いも増えて、生活の場もアクティブになったそう。
「誰からも見えないこの小さな中庭でワインを飲むのが至高の時間!」
暮らしやすさを突き詰めたアイデアが盛り込まれた空間で、おひとり様時間をゆったり過ごしている彼女に、これからの予定を聞いてみました。
「あと数年したら娘家族と過ごすために、オーストラリアに引っ越すかもしれませんね。でも今は、自分好みにこだわり抜いて改築したこの小さなコテージで気楽に過ごす毎日に十分満足しています。」
ARCHIVE
MONTHLY