
ピアノだけじゃない、フランスの駅の遊び方。
フランス国内やヨーロッパを旅する時、列車はとても便利です。
路線はどこまでもつながっていて、駅のスクリーンに次から次へと表示される様々な行き先を眺めているだけで、あ〜ここは大陸だな〜としみじみ。そんな長距離高速列車(TGV)、乗っているときはもちろん、駅にだっていろんな楽しみが潜んでいるのです。
エクス・アン・プロヴァンスのTGV駅は、街の中心地から18kmほど離れていて、荒野のど真ん中という雰囲気の場所にあります。パリのGare de Lyonを東京駅、マルセイユのSaint-Charlesを新大阪駅に例えるならば、エクスのそれは、新神戸駅って感じの地味具合です。
駅の中に入っている店は、雑誌やサンドイッチ、お菓子などを売るコンビニ的な店のほかに、カフェはPAULのみ。駅に早く着きすぎたな、なんて時は、とりあえずPAULでクロワッサンとホットチョコレートを手にいれて、お腹を満たしましょう。
そうしているうちに、どこからか聞こえてくるのが、ピアノの音。フランス国鉄の主要駅には、誰でも自由に弾けるピアノが設置されています。
この日は、自分で楽譜を持ち込んでピアノを弾くお兄さんに出合いました。プロ級の演奏が聴ける日もあれば、子どもたちが連弾を披露している日もあったりして、自然に人が集まるスポットです。
ピアノの演奏を聴きながら、快適なソファと電源が完備された待合スペースに腰を下ろして、読書っていうのもなかなかオツです。手持ちの本がない、なんて時もご心配なく。ここには、「読み物」を発行してくれる機械があるのです。


1分、3分、5分のボタンは、発行される作品を読むのにかかる目安時間を表しています。1分のボタンを押すと、レシートのような紙に、詩が印刷されて出てきました。5分のボタンを押すと、ものすごい長い紙が延々と出て来るのでご注意を。(私のフランス語力だと、こりゃ読むのに5時間はかかりますな。)
この「Distributeurs d'Histoires Courtes」と呼ばれる機械、Short Éditionというグルノーブルのスタートアップ企業の発案なのですが、その中には100,000本以上の小説や詩が登録されています。古典やベストセラーの本の一節でも入っているのか、と思いきやそうではなく、どれもこのサービスの為に書かれ寄稿された作品。審査を経て認められれば、誰でも作家として作品を披露できるのです。この機械、フランス国内だけでなく、英語圏では「ショートストーリーディスペンサー」として、カフェや大学構内に導入されているそう。
それでもまだ時間あるわ〜暇やわ〜なんて時は、テラスに出て、サント・ヴィクトワール山を眺めてみてください。写真撮影用にフレームも設置されています。
あとは、駅ナカのなにかとハイテクな機械と遊んでみたり。腰掛けると上から音楽を流してくれる椅子もありますよ。
以上、TGVの駅のちょっと楽しい暇つぶし方法をお届けしました。
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