
南仏マルセイユのお母さん、ラ・ボンヌ・メール。
フランス中、どこの街、村に行っても、必ずと言っていいほどあるのが、パン屋と役所と郵便局、そして教会。
行く先々でいろんな教会に出合い、時にその大きさに驚かされ、その美しさにため息をつき、たまにはちゃんと祈ってみている私ですが、今まで訪れた数ある教会の中でも、特別心に残っている場所が2つあります。
それは、ヴァンスのロザリオ礼拝堂(Chapelle du Rosaire)と、もう一つはマルセイユのノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド(Basilique Notre Dame de la Garde)です。
ヴァンスのロザリオ礼拝堂は、アンリ・マティスのステンドグラスと壁画があるということで、どう考えてもひときわ特別感があるわけですが、(そのお話はまたいずれ。)今日は、マルセイユの「お母さん」、ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルドの魅力について語らせてもらえればと。
マルセイユ・サン・シャルル駅から眺めたノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド。
マルセイユの街に近づくと、必ず目に入るのが、丘の頂上にそびえ立つ、美しい教会。これが、ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルドです。ノートルダム(私たちの貴婦人)の名がつく、聖母マリアに捧げられた教会はフランス中いくつもありますが、マルセイユのそれを、このあたりの人はもっと親しみを込めて、貴婦人の代わりに「母」と、それも「良い母」を意味する「ラ・ボンヌ・メール(La Bonne Mère)」と呼んでいます。
メトロの駅から徒歩でも行けますが、ものすごく急な坂道、階段を歩かされます。ダイエット中の方、山登りがお好きな方以外には、バスや観光トラム、車での訪問を強くおすすめします。(特に夏場は。)
海抜150mの丘の上に建ち、マルセイユの街や港を見守っています。「母」と呼ばれるにふさわしい御姿。鐘楼の上に建つマリア像は、高さ11.2m、重さは9,800kg近く。クリストフル製で、500gの金箔で覆われているそう。
その歴史は、800年前に遡り、最初にこの場所に小さな教会が建てられたのは、1214年。でもその後改築などを経て、いまの形になったのは、19世紀のことだとか。だから、建物は別にそこまで古くもないわけです。
私がこの教会になぜこんなに惹かれるかって、(おかの上のおかーさんだからっていうだじゃれ的なのももちろんあるのですが、)それは、港町マルセイユをものすごく感じられるから。教会の中に静かに吊るされている船や飛行機の模型からは、フランスで一番古い街として、長く貿易の中心だったマルセイユで、船乗りやパイロット、その家族たちが旅の無事を祈り続けてきたことが目に見えるよう。


それに、柱の模様がボーダーってのも心くすぐられません? なんか全体的な色合いも、きんきらと淡い色が混じって、明るくて優しい雰囲気。かわいい。笑
そしてなにより、教会を出ると目の前に広がる景色が、ただただきれい。空と海、街。こりゃもう説明不要の美しさです。
地中海に浮かぶイフ島、フリウル島。
ついでですが、最近のミャウを。お年玉としてねずみを献上いたしました。


「ぬいぐるみのねずみなんて、ねこだましにもほどがあります。」
ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド
Rue Fort du Sanctuaire, 13281 Marseille
開)7時〜18時15分(10月〜3月)
7時〜19時15分(4月〜9月)
www.notredamedelagarde.com/?lang=en
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