ポン・クロワの三毛猫と、汗だくフェスト・ノズ。
マルシェで幅をきかせていた桃たちがだんだんと力を失い、ミラベル氏が出てきたなあと思っていたら、あっという間にぶどう、洋梨が最大勢力、という感じになりました。まだ昼間はTシャツ1枚で過ごせる暑さですが、そんなところから秋の気配を感じられます。
前回から引き続き、ブルターニュの旅。最後に宿をとったのは、ブルターニュ地方の中でも西寄りにある村、ポン・クロワ(Pont-Croix)です。
自然豊かなクロゾン(Crozon)がもともとの目的地で、その周辺に宿を。と思い適当に選んだ場所でしたが、ここ、テレビ番組の「フランス人が選ぶ好きな村(Le village préféré des Français)」2019年版で2位に選ばれた、注目の村でした。
村の真ん中にある教会(Collégiale Notre-Dame-de-Roscudon)は、13世紀に建てられたもの。小さな村にしては、すごく立派です。ここよりずっと大きな、カンペール(Quimper)のサン・コランタン大聖堂(Cathédrale Saint-Corentin)の尖塔は、この教会をモデルに作られたそう。そして、他の教会ではめったに見かけない(というか初めて見た)ものがひとつ。それは、教会堂内の暖炉。寒い地域ならでは、ですよね。
そんな教会の前で出合いしは、ふんわりとした色のおミケさん。石畳の色に溶け込みすぎて、見失ってしまいそう。いつものお散歩コースなのでしょうか。我が物顔で坂道をくだって行き、紫陽花前で一休み。
私の夫は、とても動物に好かれます。猫の気をひく技にも長けていて、彼が手に持った木の枝をちょろっと動かすと、もう猫、夢中。
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さて、ブルターニュ地方には、牛やシードル、魚介類、曇り空の他に、もうひとつ超重要な文化があります。それは、フェスト・ノズ(Fest-noz)。ユネスコの無形文化遺産にも登録されている、夜のお祭り。ケルトの音楽に合わせて輪になって踊る「ブルターニュ版盆踊り」ってとこです。(年中開催されているようですが。)
今回、たまたま村のおじさんに情報をもらって行ってみたのは、プロゼヴェ(Plozévet)という村のフェスト・ノズ。地元の人が集まる、「本当のフェスト・ノズ」が見られると言うので、それは行くしかありません。
教えられた会場は、体育館みたいな場所。スタートは21時からです。少し遅れて到着したら、室内はもう、湿度100パー。サウナのごとき熱気に包まれていました。
ブルトン語で歌われる曲に合わせて、ペアになって踊ったり、4人一組で踊ったり、はたまた会場全体で輪になって踊ったり。
最初は端っこで見ていた私たちですが、こういう時絶対、「一緒にどう?」と聞いてくれる人が一人はいるのがフランスです。ということで、早々にそのお誘いにのっかり、踊らせてもらうことに。基本の「ギャボット」(La gavotte)のステップを教えてもらい、見よう見まねで動きます。
が、そもそもリズム感覚のなさは血統書つきレベルの私ですから、ぜんぜんついていけません。笑 見てる分には繰り返しばっかりの単純そうな踊りなのに、曲ごとにステップや腕の振りも違って、けっこう複雑! 繰り返しますが室内は湿度100パーのサウナなので、汗だらだら。音楽はエンドレス。
夜11時をまわっても踊り続ける、子ども、おじいちゃん、おばあちゃん……を横目に、帰りました。
季節問わず、至るところで開催されているフェスト・ノズ。ブルターニュのどこかで出合ったら、ぜひ挑戦してみてくださいね。私はいつだって、どんなに無様な姿を晒したって、見る阿呆より踊る阿呆派です。
カンペールのサン・コランタン大聖堂。そう言われれば、ポン・クロワの教会の塔に似ています。
クロゾンの、どこかの港。
ノートル・ダム・ドゥ・ロスキュドン教会
Place de l'Église, 29790 Pont-Croix
www.pont-croix.fr/pont-croix
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