南仏プロヴァンスで猫さがし。

プロヴァンス・テキスタイルの聖地、タラスコンへ。

おひさしぶりに、プロヴァンスからこんにちは。

今回はちゃんとプロヴァンス発のブログをお届けできそうで、とりあえず安堵のため息をひとつ。ふう。でもタイトルになんだかスペイン巡礼の旅を引きずってしまいました。聖地巡礼は続く。

さて早速ですが、南仏と聞いて思い浮かぶ色といえば、明るい太陽の黄色、青い空の色、ラベンダーの紫、キョウチクトウの濃いピンク、ちょっと赤みがかった土の色……とかでしょうか。実際、マルシェや街中のお土産物屋さんでも、そうした色合いのものが多い気がします。
なかでも、これらの南仏色が見事に組み合わされ、その素敵なパターンと相まって「どこからどう見ても南仏!かわいい!」と思ってしまうのが、ソレイアード(Souleiado)のテキスタイルです。

日本にもお店があるので、南仏好き、柄物好きな方はご存知だと思います。しかし、その創業の地は意外と知られていないのでは? ということで今回は、ソレイアードが生まれたプロヴァンスの田舎町、タラスコン(Tarascon)へ。

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アヴィニョンから、ローヌ川を南に下った場所に位置するタラスコン。近隣のアルルやレ・ボー・ド・プロヴァンスに比べると、見所はだいぶ少ない小さな町ですが、南仏らしい古い街並みが残ります。北アフリカ系の住民が多いのか、モスクもあり、フランスで初めて、ジェラバを着たムシューにも遭遇。カフェのテラス席に座ってたむろっているのもおじさん多め。おお、ここはリトルモロッコか。と、思いました。

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そんなタラスコン旧市街の小道を歩いていると、突然現れるのがソレイアード美術館(Musée SOULEIADO)の門。ここに、ソレイアードに代表されるプロヴァンス・プリントの、あの色、あの模様の秘密が隠されています。

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館内は撮影禁止だったため写真がないのですが、プロヴァンス・テキスタイル発祥のきっかけとなった、インド更紗のマルセイユ到来(16世紀)までさかのぼり、その布の歴史を振り返りつつ、自然由来の染料の研究をしていた部屋や、柄をプリントするための木版の保管庫などを見て回ります。

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美術館のパンフレット。右上の写真が木版。

植物をモチーフにした柄が、信じられないくらい細かく彫られた木版は、現在、40,000点以上もここに所有されているそう。それがどーんと積み上げられている光景は、圧巻の一言です。完全貸切状態のうすぐらーい館内でしたが、この宝の山はきらきらと、輝いて見えました。
(こういう木版、アンティーク市でもたまに売られているのを見かけるのですが、その辺のものとは柄の細かさが全然違います。)

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入り口に置かれたスタンションの紐も、ソレイアードの布を編んだもの。

美術館を見て回った後は、もちろんブティックへ。ここで決して見逃してはならないのが、店の一番奥に隠された(?)「Fin de série(在庫一掃セール!←意訳)」の倉庫。前シーズンのものやサンプル品が並び、生地の切り売りもしていたりして、なにここ楽しいー! と、大興奮で美術館見学の倍くらいの時間、滞在していた気がします。

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ここまで来たからにはついでにと、川沿いにあるタラスコン城(Château de Tarascon)も見物。小さな城だと思い込み油断していたら、意外と見所たっぷり。そんなに日本人は来ないそうですが、ちゃんと日本語の資料も用意されています。

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15世紀に建てられ、アヴィニョンとアルルの中間に位置することから、当時は重要な役割を持っていたというこの城。内部はほとんど手を加えられておらず、中世のままの姿だそう。そんな時代から、床暖房式サウナ(発汗室)なんてものがあったのも驚きです。
城の入り口にいる、人食い妖怪タラスクと写真を撮ったり、広間の天井に描かれた様々な怪物を探すのもなかなか楽しいのです。

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城の屋上から、ローヌ川とタラスコンの町を一望。

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最後に、タラスコンで出会った三匹のお猫ちゃんたち。一匹の名前はフェリックスだと、通りすがりのおじさんが教えてくれましたが、その他の子の名前は不明です。

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Musée SOULEIADO/ソレイアード美術館
39, rue Charles-Deméry 13150 Tarascon
http://souleiado-lemusee.com/le-musee

Château de Tarascon/タラスコン城
Boulevard du roi René 13150 Tarascon
http://chateau.tarascon.fr

中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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