南仏プロヴァンスで猫さがし。

ロクシタンと桜の秘密を探りに ーその2.

チェリーブロッサムの甘い誘惑。

ロクシタンの秘密を探る、工場潜入ブログ、後編です。前編はこちらからどうぞ。

ロクシタンと生産者との濃密な関係についてうかがった後は、いよいよ、チェリーブロッサムシリーズのお話に。日本だけでなく、フランスでも大人気の、桜がテーマのこのシリーズ。毎年限定の新フレグランスが登場していますが、その開発には、意外な裏話がありました。

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チェリーブロッサム限定シリーズの開発にあたり、桜の花を収穫したいとチェリー農家に相談したロクシタン。ところが農家さんたちからは、「え、なんで花?」という反応が返ってきたそう。

古くからチェリーの果実の産地だったプロヴァンスのリュベロン地方には、桜の木がたくさん植えられていました。でもそれは実を採るためのもの。花に目をつけたのはロクシタンが初めてで、その発想は、当時(プロヴァンス農業界的には)突飛なものだったようです。

驚かれつつも、2軒の農家とともに始まったチェリーブロッサム限定シリーズの開発。3年間の研究期間を経て製品となり、現在は、20軒の契約農家がロクシタンのために毎年1トンもの桜の花を収穫しています。

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とにかくデリケートな桜の花、収穫にも、その後の加工にも、細心の注意が払われています。枝が混じらないように、ひとつひとつ手作業で摘みとられた花は、収穫した人のエプロンのポケットから、直接大型冷蔵庫に入れられます。その冷蔵庫に入っているのも、一晩のみ。翌日には、ロクシタンの工場に運ばれ、すぐさま低温真空蒸留が始まります。一度収穫された桜の花は、48時間を過ぎるともう使えなくなってしまうのだそう。

「早朝にチェリー農場に行って、花が目覚めるのを待つんだ。花が目覚めると、ハチのために蜂蜜の香りを放ち始める。その甘い香りに包まれる瞬間は本当に素晴らしいよ」と語るロメさん。ロマンティック! 私にもその瞬間感じられるいいな。

フレデリックさんの桜の木。

ということで、次に向かったのは、工場のあるマノスクから車で45分、アプト(Apt)というリュベロン地方の小さな村のチェリー農場です。

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まだ5歳、小さな桜の木。

でも、いまは真冬。もちろん花は咲いておらず、一列に並んだ桜の木にくっついて、小さなつぼみが寒空の下、お行儀よく春を待っています。

ここは、ロクシタン契約農家のおひとり、フレデリック・ブジさんの農場。
かつては自動車関連のお仕事をされていましたが、家族で持っていたこの農場で働くため、農家に転身。現在はチェリーのほか、アーモンド、アプリコット、ブドウも作っています。

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フレデリックさん。

フレデリックさんも最初、桜の花を使いたいという話にはびっくりしたそう。それに、花をひとつ摘むということは、チェリーの実をひとつ失うということ。生の果実としてもジャムやお菓子用にも需要のあるチェリーの出荷を減らすのは、けっこう痛手では? と思ってしまったのですが、ロクシタンとの仕事はハッピーだと話してくれたフレデリックさん。

フルーツの生産者にとって、最も忙しいのは夏場。比較的仕事の少ない春に作業ができるのは喜ばしいことなんだとか。4月になると、夏に出荷するチェリーの果実の量とのバランスを考えながら実にする分を残しつつ、家族総出で花を収穫しているそうです。

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こちらは7歳の木たち。

ところで、フレデリックさんの農場には、2,000本もの桜の木があります。綺麗に並んでいるのですが、木の間が雑草だらけ。実はこれにもちゃんと理由がありまして。ほんと長々と申し訳ないんですが、ちょっと聞いてもらえますか(笑)。

この、木の間に生えた雑草っぽい植物、実はわざと植えてある麦やモロコシ、ベッチと呼ばれるマメ科の植物など。これらは、木に寄り付く害虫を食べてくれるテントウ虫の住処になるだけでなく、雨の後の土の流出を防いでいたり、さらに、土の中の窒素を固定させることで、肥料の代わりになるそうです。
害虫を減らし、土壌も豊かにしてくれる。ゆえに、ケミカルな農薬や肥料を使う必要もなくなり、より環境に優しく、桜の木を育てることができるのです。

なるほどーと大きくうなずく探検隊(私)。畑の工夫はほかにもあって、水やりは地中から管を通してすることで、水を蒸発させることなく、同時に鳥が水を飲みにやってくるのも防いでいるそう。

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一見するとさみしい畑ですが、農家の知恵と工夫、そして自然の力で、元気な作物を育てる、その意気込みに触れた気分です。

フルーツを宝石にしたみたいな、フリュイ・コンフィ。

花もフルーツもない冬……ですが、アプトのチェリーを1年中楽しむ方法をご紹介! それは、この村の銘菓、フリュイ・コンフィ。フルーツを砂糖漬けしたこのお菓子、ローマ教皇がアビニョンに住んでいた時代から作られているという、長ーい歴史のあるものです。いまはオレンジやパイナップル、キウイまで、種類も豊富ですが、最も伝統的なのは、やっぱりチェリーです。

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砂糖漬けされたチェリーなんて、もはや砂糖の味しかしないんじゃないかと、震える覚悟で(あまりに甘いもの食べると、身震いしてしまうの、私だけでしょうか)、ぱくりと食べると、中からはチェリーの優しい味がじんわり。果肉の食感もあって、とってもおいしい。想像よりは甘さ控えめなので、リュベロンにいらっしゃったら、ぜひトライしてみてくださいね。

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長期保存が可能なため、おみやげにもぴったり。ここ、ラ・メゾン・デュ・フリュイ・コンフィには、ミュージアムも併設されていて、チェリー収穫の様子を、美しい映像で見られます。

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La Maison du Fruit Confit/ラ・メゾン・デュ・フリュイ・コンフィ
538 Quartier Salignan D900 CS90137 84400 Apt
www.lesfleurons-apt.com/gb

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土曜日のアプトは、大きなマルシェが出て冬でも賑やか。Musée d'Aptでは、フリュイ・コンフィや陶器、オークルといった、アプトの名産品について知れるようです。

以上、ロクシタンのマノスク研究所と、チェリーブロッサムのふるさと、アプト訪問記をお届けしました。

今回、いちばん印象に残ったのは、ロクシタンが植物とその生産者にかける思い。「植物の恵みを最大限生かす」。約40年前、オリビエ・ボーサンさんがロクシタンを創設した時から変わらぬそのこだわりは、プロヴァンスの豊かな自然に支えられながら、ロクシタンと農家の方々、ブルキナファソの女性たちとの堅い結びつきによっていまも守り続けられています。

最後に、ミャウからお知らせです。

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こんにちは! ミャウです。この度、ロクシタンとあたしのコラボが実現しました。トートバッグとギフトボックスになって、2月20日(水)から全国のロクシタンショップにお邪魔します。ぜひ、お店に遊びに来てくださいね! お待ちしています。

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パール効果がお肌を美しく見せてくれるボディミルクと、うるおい効果もあるフレグランスミストがセットになった、チェリーブロッサム ボディ&ミスト。(数量限定)税込5,724円

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「ミャウちゃんお散歩トート」は、チェリーブロッサムチェリープリズムを含むロクシタン製品を税込5,400円以上お買い上げのお客さまに先着でプレゼント。

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「いい香りがします。チェリーブロッサム オードトワレというらしいです。猫用のはないんですかね」

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「こちらもいいですね、チェリーブロッサム フレグランスミストは数量限定だそうです。猫用のはないんですかね」

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「これがフリュイ・コンフィってやつですね。おいしそうですね。猫用のはないんですかね」

ロクシタン
https://jp.loccitane.com

中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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