フランス一人旅、art de vivireな時間へ
デコラトリスの多賀谷洋子です。
パリの惨状に心を痛める日々です。チャーミングな街がこれほどまでに不衛生で危険な状態になってしまうとは、そこで生活している方々の心情を思うと計り知れないものがあります。
実は、この春、私も仕事を兼ねてパリ行きをプランしていたのですが、帰国難民になりそうでキャンセルしたところです。
とはいえ、フランスには11月にも行ったばかり。
ただ、前回は、テーブルウエアブランドの工場など地方巡りが中心で、パリは移動の調整的な滞在。ピンポイントで用事を済ませる程度だったので、今回はパリでゆっくり過ごそうと楽しみにしていただけに、残念でなりません。
さて、11月のフランス旅を少し振り返りたいと思います。
コロナ渦初の一人海外フライト。お隣にどなたか見知らぬ方がいらっしゃるというのには、まだ不慣れで違和感が。
ずっと公共の乗り物は空席の方が多く、二人掛けも三人掛けでも、いつも一人で占有という環境が、いつの間にか当たり前になっていたようです。
ともあれ、8月、エールフランスを利用した時は何度もリスケとなり、最終的には、一日遅れで、しかも羽田から成田便に変更となってしまったため、今回は何事もなく羽田から発つことができ、安堵のプリデパーチャー・シャンパーニュを愉しみます。
この時、到着後はヴァンセンヌにある友人宅にもお泊り。
「フライトで疲れていると思うので、温野菜やスープを用意しておくわ」
夕食をご一緒させて頂く予定だったので、機内では胃にやさしそうな軽めなサラダやフロマージュだけでセーブするつもりでしたが、
イズニーバターも美味すぎて。。
「長時間フライトだし、しっかり眠ればOK!」
ポジティブに解釈し、やはり、シャンパーニュは浴びるように飲んでしまった!
さて、友人は、長くフランスのテーブルウエアブランドに勤務していて、今は世界中のラグジュアリーホテルを相手にオリジナル商品をデザイン開発する敏腕マダム。とびぬけたセンスの持ち主で、私のテーブルアートのよき理解者的存在といえるかもしれません。
この時も、長年のパリ生活で鍛えられた彼女の審美眼で吟味されたテーブルウエアを使ってもてなしてくれます。
シュヴァリエの私の為に、「フロマージュは、朝一番でビオマルシェで購入したの」
裏庭のハーブガーデンで育ち過ぎたというローズマリーも添えたプラトゥーを用意してくれました。
un village,un fromage
「一つの村に、一つのチーズ」フランスには数千種類のフロマージュがあるとされていて、日本に入ってくるのはDOP等有名なものばかりで、ほんの一握り。
本でも見たことすらない無名のフロマージュに出会えるのは、フランスでのかけがえのない時間の一つ。
どれも滋味深い味わいで、ワインとの長い余韻を楽しみます。
フライト前夜、仕事後もフランス大使館でのレセプションに参加させて頂いたりとスケジュールが詰まっていて、疲れすぎていたのか、シャンパーニュで覚醒されてしまったのか、機内で一睡もできなかったため、
「途中で眠気が襲ってきたら申し訳ない」と懸念しましたが、それは全く不要で、深夜まで話は尽きず。
翌朝は、「どうしても食べさせたかった!」とご主人が買ってきてくれた、ご近所のBIOブランジェリーの焼き立てブリオシュで、プティデジュネ。
カンパーニュ以上の巨大サイズで、なかなかのインパクトです。
ふんわりと優しい食感で、穏やかな甘み。パネトーネに近い味わいかもしれません。
日本で、朝は穀類を控えているのですが、やはりここはパンの国、フランス。
カットしては食べて、を何度も繰り返し、止まらない!
そして、この朝、地下室に眠る膨大な食器コレクションから、いくつか譲りうけるという幸運に恵まれました。
一人旅だからこそ、人とのふれあいがこの上なくいとおしくて、贅沢な時間になります。
今回も、多くの新しい出会いがありました。長くなりそうですので、続きは次回へ。
☆多賀谷洋子 「アンティークシルバーのテーブルセッティング講座」
The okura tokyo主催
6月7日 8日 各日13時から
詳細は下記をご覧下さい。
https://theokuratokyo.jp/letter/news/jewelry/
こちらのWEBでもご紹介いただいております。
フィガロ編集部さん、ありがとうございます!
https://madamefigaro.jp/lifestyle/230323-hotelokuratokyo.html
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