「ブチェラッティ」の優雅なテーブルウエア
とあるブランドの新作発表会のため、並木通りへ。
日本一優雅で、誘惑の多いこの通りに来た以上、発表会が終わってもすぐに立ち去るのはあまりにも名残り惜しく、「ブチェラッティ」へ。
それほど知られていませんが、こちらはインテリア小物が充実していて、実は、スターリングシルバーのテーブルウエアコレクションが豊富にあるのです。
この6月から、アンティークシルバーのテーブルレッスンを開講する予定で、頭の中は銀食器コンシャスになりつつあるこの頃。
もちろん、こちらで扱う商品はアンティークではなく現行品ですが、イタリアならではの迫力あるスターリングの輝きは他にはない存在感を放ち、スタイリングの仕事にも、無数のインスピレーションを与えてくれます。
その世界観に少しでも触れたくて、吸い寄せられるように店内へ。
二階のサロンで、まずは、美術書のようなカタログを拝見しつつ、圧巻のハイジュエリーコレクションなどを。
ところで、昨年、ジ・オークラ東京でセミナー を開催した時、ご参加いただいた方の中に、とてもセンスのよい二人組のマダムがいらっしゃいました。
日本人離れしたジュエリーの纏い方や身のこなしがとても都会的で、ご挨拶がてらお話を伺うと、やはり、それぞれブランドは異なりますが、銀座に本店を構えるハイジュエラーにお勤めだとのこと。そのうちのお一人が、こちら、ブチェラッティのTさんで、以来、イタリアンジュエリーの指南役として、新たな魅力に開眼させて下さっているのです。
こちら、上のバンブーモチーフのコレクションは「タヒチ」
ゴーギャンの色彩を彷彿させるようなラフな雰囲気ですが、エピソードがとても粋でリュクスの極み。元々は、とある実業家が所有するヨットで使用するためだけのプレイべートオーダーだったのだとか。
いつかの真夏に見た、停泊する豪華クルーザーで埋め尽くされた、モナコやコスタデルソルの港の光景が蘇ってくるようです。
和食器の見立てなら豆皿が一般的かもしれませんが、西洋的には、こちらは塩入れのサリエラ(フランス語はサリエール)として使いたい、大小のディッシュ。
古代ギリシアから、奴隷の取引として、貨幣代わりに使われていたほど貴重だった塩は、王侯貴族のテーブルには不可欠で、それを入れる器は絶対に豪華でなければならず、実は他のどの食器よりも凝ったものが作られ、とてつもなく高価な贅沢品だったのです。
緻密で繊細なグレーヴィングが施された風貌は、そんな歴史を持つ塩入れに相応しいオーラを放っています。
ジノリの職人による磁器も。
シノワズリーな雰囲気の蓋付きカップ。
ブランドの代表的装飾モチーフ「ダブルルーシュ」から想を得た、ハンドメイドコレクション。
エレガントな弧を描くレース模様に目を奪われていると、久しぶりにフィレンツエに行きたい気持ちが。
そういえば、コロナが始まった2020年の夏は、アルノ川沿いにあるフェラガモのホテルに予約していながら、泣く泣く見送ったことを思い出しました。
コロナがなければ、ポンテベッキオから覗く朝日で目覚め、夕日と共にアペリティボをする夏のホテルライフが過ごせたのに! このブログにも記事が書けたのに!!
マエストロ技の優雅なルーシュを見ながら、なんて私は世俗的なの。。。と思いつつ、フィレンツエへの旅情が再び蘇ってくるのです。
他、フォトフレームやルームキャンドル等も。
下は、ヴェネツィアンガラスを埋め込んだフラワーベース。
ディテールに伝統的手工芸の技法が溶け込んでいて、イタリアの誇りを凝縮したようなラインナップに心躍ります。
そして、Tさんとお話するうち、ブランドのハイジュエリーコレクションの中のある一つのシリーズに、絶大なインスピレーションを与えたとされる、イタリアの地方都市にある小さな教会へ、偶然にもこの夏訪れていたということが、判明するのでした。
続きは、次回へ。
☆ブチェラッティ公式サイト
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