プロダクトとしても愛でたい、装丁の美しい本。
Culture 2016.03.25
電子書籍化の波はプロダクトとしての本の価値を再認識させてくれたのかもしれない。昨年はドイツの小さな出版社シュタイデル社を追ったドキュメンタリー映画『世界一美しい本を作る男』が話題になったが、『ブックデザイナー・名久井直子が訪ねる 紙ものづくりの現場から』(グラフィック社刊)では日本の本の匠を紹介。10年前より需要が増えている活版印刷の魅力、手摺木版で美術書の出版を続ける芸艸堂、越前和紙の伝統を守り続けている岩野平三郎製紙所など、紙の職人たちの仕事にも注目したい。
装丁買いさせるブックデザイナー、名久井直子の技。本を開くと鮮やかなブルーが広がる。全ページ、この詩集のためだけに特注した高級越前和紙を使用。柔らかな質感が余白の美を物語る。布張りの表紙は青白茶の箔押し。
●谷川俊太郎著『あたしとあなた』ナナロク社刊 ¥2,160
通常は文字が載る帯にカラーイラストを配したブックデザインは映画『かもめ食堂』の宣伝美術や書籍『まこという名の不思議顔の猫』などを手がけた大島依提亜。どこか懐かしく新しさも感じるデザインが目を引く。
●『福田利之作品集』玄光社刊 ¥2,160
個性豊かな挿絵で、古典に新鮮な魅力を。
現代版『絵本御伽草子』シリーズ(全6巻)は古典を大胆に読み解いてみせる作家と個性豊かな画家のコラボレーションが話題。最新刊では人気イラストレーター、ヒグチユウコが妖しく魅惑的な異界を描き出す。
●日和聡子著 ヒグチユウコ絵『うらしま』講談社刊 ¥1,512
*『フィガロジャポン』2016年3月号より抜粋
photos : JOHN CHAN, réalisation:HARUMI TAKI
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