クラシカルなのに新しい、 ネオ・チェンバー・ポップ。
Culture 2016.05.19
ポップミュージックに弦楽器や管楽器を起用すること自体は、とりたてて目新しいわけではない。しかし、大げさなオーケストレーションではなく、音響的に室内楽サウンドを構築するアーティストが増えている。ロックからフォーク、ヨーロッパから中南米、そしてアフリカと、ジャンルも国籍も多種多様だが、いずれも繊細で少し実験性を持っているのがポイントだ。
フレンチと南米の薫りを、絶妙にミックス。
ドム・ラ・ネーナ『彼女』
チェロを弾きながら歌うという個性派シンガーソングライター。つぶやくように歌うヴォーカルや、チェロを使ったアンニュイなアレンジも極上。ブラジルに生まれ、フランスとアルゼンチン育ちというのも興味深い。●プロダクション・デシネ ¥2,160
ノルウェーの森からの、透明なハーモニー。
アイナル ストレイ オーケストラ『ポリトリックス』
男女ツインヴォーカルでシンフォニックな楽曲を奏でる。北欧ならではの透明感があり、アコースティックとシンセの融合も見事。ポストロックと呼ばれるような実験性も兼ね備えており、シーンの中心的存在になりそう。●Pヴァイン ¥2,592
ミラクルズ・オブ・モダン・サイエンス『Mean Dreams 』
シンプルなロックバンドだが、ギターやキーボードの代わりにヴァイオリン、チェロ、マンドリンなどが加わる異色グループ。ボン・ジョヴィとボン・イヴェールをマッシュアップするなど、シリアスになりすぎないところもポイント。●輸入盤
室内楽とアフリカンの、組み合わせの妙。
ブリック・バッシー『アコ』
カメルーン出身パリ在住のシンガーソングライター。メロディや言葉にはアフロテイストがあるが、チェロやトロンボーンなどを交えたアレンジがスタイリッシュ。米アップル社のCMに抜擢されるなど、今後も目が離せない。●Pヴァイン ¥2,700
シアトリカルな世界を描くクリエイター。
ミュゼット『 ア・コズミック・セレネイド』
スウェーデンからやってきた音の魔術師。映画音楽やミュージカルのような華やかさを、独自のフィルターで解釈したポップミュージックを作り出している。華麗なオーケストレーションは、ファンタジックで楽しい。●インパートメント ¥2,376
*『フィガロジャポン』2016年3月号より抜粋
réalisation:HITOSHI KURIMOTO