フィガロが選ぶ、今月の舞台 カンフーが芸術に！ 舞台『スートラ』が気になる。

『sutra スートラ』

カンフーを芸術に昇華する、卓抜したアイデア。

僧侶19名に加え、日本公演では振付家自身が主演。英国現代アートの巨匠、Ａ・ゴームリーによるセットにも注目。
 

　自身がモロッコにルーツを持つベルギー生まれであり、異文化への理解と思い入れをさまざまなダンスに昇華させてきた、振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ。森山未來主演の『テヅカ』や『プルートゥ』では日本独特のマンガ文化にも切り込んで見せた。今回が日本初上陸となる『スートラ』は、シェルカウイが中国河南省にある本家少林寺の僧侶たちとつくり上げたという、いままで誰も考えつかなかった斬新なアクロバット＆ダンス作品である。世界のダンスシーンでも注目度の高い、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で史上最高のヒット作となり、世界60都市での公演も絶賛を浴び、その功績でシェルカウイが2009年にヨーロッパ最大の文化勲章・カイロス賞も受賞している。
　寺に２カ月間滞在し、厳しい戒律に従って修行する現役の僧侶たちとともに行われた、ストイックな作品づくり。磨き抜かれた身体が躍動するアクロバットと群舞は、まさに圧巻！