フィガロが選ぶ、今月の5冊 スペインのベストセラー『これもまた、過ぎゆく』

『 これもまた、過ぎゆく』

人生の分岐点を描いた、スペインのベストセラー。

母の死を嘆くブランカは、気晴らしをすべきだという周囲の勧めを受け入れ、母が遺したカダケスの家へ。「妙な理屈だけど、わたしは自分が四十歳になるなんて夢にも思わなかった」。バルセロナで暮らすシングルマザーの彼女は、自分の人生はこれでよかったのかと揺れている。親を看取ることは、大人を途方に暮れた子どものような気持ちにさせる。元夫や恋人、親友たち、あのころといまの自分をよく知る人々と過ごす、小休止のような時間が流れていく。バカンスの気怠さが主人公の心情と重なる。世界三十カ国で翻訳されたスペインのベストセラー。