フィガロが選ぶ、今月の5冊 女性火葬技師による、愛と死のノンフィクション。
Culture 2016.11.30
『煙が目にしみる〜火葬場が教えてくれたこと〜』
ケイトリン・ドーティ著 池田真紀子訳 国書刊行会刊 ¥2,592
8歳の時、同じ年頃の女の子が転落死するのを目撃して以来、死について見て見ぬふりをしてきたという著者は、大学を卒業後、サンフランシスコの葬儀場で火葬技師見習いになる。初仕事は遺体のひげ剃り。カリフォルニア州では、遺骨は原形のままではなく、粉骨機でパウダー状にされて遺族に引き渡すことが法律で定められている。死からできるだけ隔離する現代の葬儀に、著者は次第に疑問を抱くようになる。日本との死生観の違いも興味深い。ドライなユーモアを感じさせる語り口も魅力的なノンフィクション。
*「フィガロジャポン」2016年12月号より抜粋
texte:HARUMI TAKI
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