清純な女の一生を描く名作が、美しい映像表現で蘇る。

Culture 2018.01.04

田園や屋敷の光と翳りが包む、清浄なヒロインの試練の果て。

『女の一生』

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男爵家の娘ジャンヌは子爵の美男子と出会い、ほどなく結婚。倹約と欲情だけが取り柄のケチな田舎貴族という夫の現実に幻滅し、なお2度の裏切りに遭う。ロウソクの揺らめきに照り映えた19世紀の夢想家の悲劇を映画は冷徹に見据えつつ、「憐れ」の一言では片付かない魂の清浄さをも際立たせる。ノルマンディの肥沃な農園の光や風に染まり、モーパッサンの小説ではヴェロネーゼの肖像画にも喩えられるジャンヌの、愛しいものを一心に抱き寄せる愚かさと神々しさ。ヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。

『女の一生』
監督・共同脚本/ステファヌ・ブリゼ
2016年、フランス映画 119分
配給/ドマ、ミモザフィルムズ
岩波ホールほか全国にて順次公開中
www.womanslife.jp

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*「フィガロジャポン」2018年1月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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