自然と触れた方が「幸せ度」アップ! 木を眺めるだけでOK
Culture 2017.12.06
©ASO FUJITA/a.collection/amanaimages
「自然」で幸福感や高揚感がアップ
人は自然に触れた方がより幸せに感じることが、調査結果で明らかになりました。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)の調査チームが、395人の大学生を対象に調査を行なったところ、自然に触れる方が、幸福感が高まったそうです。調査結果を伝えるデイリーメールによると、例えば混雑した街なかで鳥のさえずりに気づくとか、バス停の横に立っている木に目をやるだけでも違うそうなので、都会のなかでも十分、効果はありそうです。
UBCでの調査はまず、395人の大学生を3つのグループに分けました。グループは「自然」、「人工物」、「いつも通り」で、学生たちには2週間の間、自分に割り当てられた対象物のなかから、気になったものを写真に撮ってその時の感情をメモしてもらいました。
つまり「自然」グループは、たとえば観葉植物、道ばたに咲く花、鳥、太陽など、人間がつくったものではない自然なものを対象にしました。「人工物」のグループはその名の通り、人がつくったもの。「いつも通り」は、何もせずに日常通りに生活をする、「コントロール・グループ」(ほかのグループとの比較となる)でした。
2週間の調査期間後、2500枚の写真と感情のメモが集まりました。それらを分析したところ、「人工物」を対象にしたグループやコントロール・グループと比べ、「自然」のグループは幸福感や高揚感が高かっただけでなく、自然や人とのつながりも強く感じていたそうです。
都会でも効果あり
この調査の主執筆者でUBCの博士課程にいるホリー=アン・パスモアさんは、こうした効果を得るために自然のなかを歩いたり屋外で何時間も過ごしたりする必要はなく、街なかのバス停の側に生えている木を眺めるだけで十分、いい影響を得られるとデイリーメールに話しています。
このように自然からの恩恵で心を癒やそうという動きは、欧米では「エコセラピー」と呼ばれて注目を集めつつあるようです。アメリカのメディアNBCニュースが先ごろ報じた話によると、イギリスのエセックス大学の研究で、うつ病患者10人のうち9人が、公園のなかを歩いた後に自尊心が高まった、と答えたそうです。この記事ではまた、不安症とうつに悩んでいるアメリカのローレン・ハドルさんのケースも紹介されています。
薬を飲むのが得意ではないローレンさんにお医者さんが出す処方箋には、薬ではなく「週5日、近所の公園で30分間過ごすこと」と書かれているそうです。
忙しい12月、ストレスが溜まったら、空を眺めたり公園の緑に触れたりして、自然の恩恵を受けてみてはいかがでしょうか?
texte : SATOMI MATSUMARU