夫は大丈夫? 3割弱のパパたちが産後うつに。
Culture 2017.12.07
27%が軽度以上のうつ症状
産後うつというとどうしても実際に出産をする女性……と思ってしまうところですが、男性も産後うつになる、という話は聞いたことがあるでしょうか?
これまで、男性が産後うつになる割合は、8%強と言われていたようです。でもこのほど発表されたスウェーデンでの調査では、パパの27%に「軽度以上」のうつの症状がみられたそうです。
スウェーデンのルンド大学が「スカンジナビアン・ジャーナル・オブ・サイコロジー」に発表したこの調査は、オンラインでの調査に自発的に協力してくれた新米パパ(0〜1歳半の赤ちゃんがいる男性)447人を対象にしています。
男性のうつ症状に合わせた評価法
今回の調査を率いたElia Psouni准教授は、産後うつ病の判断に使用される「エジンバラ産後うつ病自己評価」(EPDS)では、父親の産後うつを見つけるのは難しい、と指摘しています。というのも、男性で特に多いうつ症状(イライラ、落ち着きがない、ストレス耐性が低い、自制心の欠如)をEPDSではきちんと判定できないからだそうです。
今回の調査では、EPDSと「ゴッドランド男性うつ自己評価」(GMDS)、「ベック抑うつ質問票」(BDI-II)を併用して、従来的な産後うつの判断とは異なる方法で行いました。ガーディアンによると、これなら「動揺、怒り、残業や飲酒の増加」といった、男性によく見られがちなうつの症状を見つけやすくなります。今回、父親の産後うつの割合が従来よりも上がったのはそのためです。
「幸せ」と思われてプレッシャーに
今回調査に参加したパパの3人に1人は、自傷行為を考えたことがあると言います。でも、医療機関に相談した人の数は非常に少なく、うつ症状が中〜重度と判断された男性の83%は、「辛い」ということを誰にも相談していないと答えました。ルンド大学の発表文によると、辛いことを相談しない女性の割合を出すのは難しいものの、おそらく女性の場合は20〜50%だろうとのことです。
赤ちゃんができたばかりの親は、周りから「幸せ」だと思われているというプレッシャーから、気分の落ち込みについて相談しづらいと思ってしまうようであることと、男性は心の問題、特にうつに関しては相談したがらない傾向があるということを、Psouni准教授は指摘しています。
産後うつの場合、辛い思いをしている当人の他に、赤ちゃんのニーズを察知しづらいなど、赤ちゃんにも影響があるようです。辛いという自覚がある新米パパや、自分のパートナーや親類、友達で辛そうな新米パパがいたら、産後うつの可能性を考え、早めに適切なところに相談に行った方がいいかもしれません。
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texte : SATOMI MATSUMARU