女優サリー・ホーキンスが画家の半生に生命を吹き込む。

つましくも苛烈な暮らしが、絵を描く時を幸福の色合いに。

『しあわせの絵の具
　愛を描く人 モード・ルイス』

正規の絵画技法を学ばなかった素朴派のカナダ人女性画家モード・ルイスの半生に、いま旬の女優サリー・ホーキンスが生気を吹き込む。若くしてリウマチを患い、半人前扱いの叔母から自立すべく漁師の家に住み込んだモードは、下働きの合間、板切れやあばら家の壁や窓に我流の絵を描き始める。モードを犬や鶏以下に遇したイーサン・ホークの荒くれ漁師が彼女の絵を後押しする、和らいだ情愛の芽吹きがふたりの暮らしからひたひたと身に迫る。互いに感化し合う温度感を伴って。

【関連記事】
〈インタビュー〉女性監督が世界に贈る愛の物語『しあわせの絵の具』。
各テーマ曲にも注目を。アカデミー賞4冠『シェイプ・オブ・ウォーター』

＊「フィガロジャポン」2018年4月号より抜粋