フィガロが選ぶ、今月の5冊 強制わいせつ事件に着想を得た、衝撃的な青春小説。

Culture 2018.12.05

性犯罪の背景に横たわる、格差意識を暴いた問題作。

『彼女は頭が悪いから』

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姫野カオルコ著 文藝春秋刊 ¥1,890

性犯罪が起こると、「被害者にも落ち度があった」と言われてしまうのはなぜなのか。東大生5人による強制わいせつ事件をもとにした本作は、小説ならではの緻密な筆致で、加害者と被害者それぞれの心理に迫っていく。ごく普通の家庭に育ち、女子大に通う美咲は、東大生のつばさと恋をしたはずだった。相手の恋心ゆえの行動でさえ、高学歴というスペック目当ての愚かな下心にしか思えず、侮蔑の対象として貶めずにはいられない。プライドと裏腹な劣等感が事件の引き金となる。家庭環境や学歴の違いからくる格差意識を、容赦なく暴き出した問題作。

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*「フィガロジャポン」2018年11月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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