段取り上手なビジネスパーソンの秘密とは?

Culture 2019.02.19

スケジュールをきちっとこなしながら笑顔を絶やさない彼女たちには、どんな秘密があるのだろう。管理職へのコーチングを行うコンサルタントが、そんな女性たちの謎を解き明かす。

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すべてを自分で抱え込まないことが大切。photo:iStock

職場では毎日のように、予期せぬ事態や課題、越えなければならない困難が発生する。そんな中、日々の仕事を整然と管理し、そのためにさまざまな道具を巧みに使いこなしている女性たちがいる。

彼女たちはみな相当の仕事を抱えている。でも、段取りよく仕事をする――つまり時間やストレス、職場の人たちとの関係を上手に管理する――方法を身に付けているおかげで、気持ちに余裕がある。段取りが上手いということは、任された業務をやり遂げると同時に、自分ですべてを引き受けずにグループで取り組むことでもあるからだ。笑顔を保ちながら仕事をきちんとこなす、そんな段取り上手の女性たちの秘密とは?

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先に起こることを見越して仕事をする。

「その日その日を生きる」と言うと格好いいが、熟考、事前の準備、専門知識といったものが要求されるプロジェクトを円滑に進めるには、この哲学では間に合わない時がある。その日の成果に満足して1日の終わりを迎えることのできる女性たちは、計画的に仕事をしている。

マネージメントコンサルティング会社「エトリア」に所属する、進行管理専門ビジネスコーチのクリスティーヌ・ゴデは次のように説明する。「こうした女性は先を見据えて行動しています。先見性を持って仕事に取り組むためには、自己開発が必要です。終わるまでに数日、あるいは数週間かかるような仕事に立ち向かい、期日が迫っても過呼吸にならずにいるというのは、自分自身に対して大きな自信を持っていなければできないことです」

「PDCAサイクル(plan=計画を立てる、do=実行する、check=検証する、act=改善する」はオーソドックスな仕事手法だが、いざ実践するとなると簡単ではない。「人によって時間との関わり方は異なります。時間のことを考慮したり制御するのは難しいと、多くのクライアントが言います」。段取り上手な女性たちは、時間を重要な味方と位置付けている。

すべてをこなせるとは考えない。

早合点してもらっては困るが、オーガナイズと完璧は必ずしも同じ意味にはならない。ToDoリストのタスクをすべて消去できないのがストレスのタネになることもあれば、チェックすることが開放感につながる人もいる。

「“段取り“という言葉を聞くとすぐに完璧な女性を想像しがちです。ところが段取りの上手な女性たちは、ときにこうした幻想と対極にあることがあります。彼女たちは『もうだめ。もっとよくなるかもしれないけど、今日はできるだけやった』と言える人たちです。他のことは後回しになってもひとつの仕事に多くの時間をかけるべきか、多少不完全なところが残っていたとしても次の仕事に移るべきか、判断を迫られる局面に立たされることはよくあります」

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「一度にひとつのこと」を実践する。

メール、メッセージ、会議……そうしたものに追われる身には、「モノタクス(ひとつのことを行う)」術を実践しようと思ってもなかなか難しい。

「一度に複数の物事を処理しようとすると疲れてしまいます」と前述のゴデは言う。「私の元に相談に来る女性たちの中には、『自分の仕事に集中したいから、この時間には対応できない』と同僚に言えるようになりたいという人もいます。彼女たちは目標に向けて少しずつ前進しています。『今日は10時から11時の間はメールに返信しない。明日は1日に5回もスケジュールを確認しない』といったように。帰宅後に1日を振り返ってみるのも大切です。一度に3つのことを処理しようとしなくても、その日の課題が達成できたかどうか、自問してみましょう」

予想外の出来事に対処する術を知っている。

不測の事態がタイミングの悪い時に起こることもある。驚くことに、仕事のスケジュールをきちんと組んでいる女性ほど、思わぬ事態も上手に乗り切ることができるという。彼女たちは余裕を持って1日のスケジュールを組んでいるからだ。

それに、毎日予定をびっしり詰めなければいけないと思ってはいないし、周囲に仕事を任せるのも上手い。ゴデがこれまでコーチングした管理職の中には、些細な問題に遭遇する度にひっきりなしに調整を求めてくる部下を持つマネージャーたちもいた。「マネージャーたちには、問題を処理するのではなく、まず相手にどんな解決策が考えられるかと問いかけるようにしてもらいました。しばらくすると、部下の方から自分で解決案を用意してくるようになりました。部下の自立性を鍛えるのと同時に、部下をマネージメントするのに必要な時間を軽減することができたわけです」

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助け合いを実行している。

「助け合いが不足しているために物事が円滑に進まないというのは、私がコーチングしているチームでもよくあることです」とゴデは明かす。企業が組織として機能するためには、チームとしての協力関係が不可欠だ。

「自分のチームを知るということは、チームのメンバーと良好な人間関係を作れば済むことではありません。何よりも各メンバーが、『誰が、何を、なぜしているのか』をきちんと把握していることが大切です」。そうしておけば、何か問題が発生した時に誰に相談すればいいかと悩む人はいなくなる。「一度、チームの全員がお互いの仕事を把握すれば、信頼のできるメンバーに任務を任せたり、助けを求めることができるようになります」

信頼関係を構築できたらそれぞれが連絡を取り合って、互いに助け合いながら働く環境も整っていく。組織の運営には必要なことだ。

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心穏やかに仕事をするための、私たちのルール。

続いては、スムーズの仕事を進める秘訣を、3人のビジネスパーソンに紹介してもらおう。

デルフィーヌ・レミ=ブタン/広告・デジタル戦略代理店「The Bureau」創業者

「私の仕事を助けてくれているのは、デジタルツールですね。Slack、Google Drive、Dropboxといったツールを、チームのメンバーと情報を共有するために最大限に活用しています。私ひとりでは何もできませんから、リアルタイムで仕事を分配する必要があるのです。それから、3カ月~6カ月といった長いスパンで仕事の計画を立てるようにしています。それと同時に、その週の案件については、臨機応変に対応するように心がけています。週明けに同僚たちにしっかりした予定を提示できるよう、週末に次の週のプログラムを組んでおきます」

リンダ/ブログ「Dans les baskets de la mariée(新婦の立場で)」運営

「私はいつも、ToDoリストをふたつ(仕事用とプライベート用)作るようにしています。どちらのリストもいっぱいですが、仕事は決まった時間にするようにしています。そうしないと、やることが際限なくあるような気がしてしまいますから。それと週末は完全にオフにして、仕事を入れないように努めています。その方が次の週の生産性が上がります。私の本当の秘密は、あまりきっちりと予定を組まずに、余裕を持ってスケジュールを立てることですね。予想外の事態というのは必ず起きるものですから! ブログでも無理のない頻度で更新するようにしています。過度のプレッシャーを自分に課すのは、むしろ非生産的だと思います」

レア/矯正器具メーカー「Slimers」社長

「私の場合は古風ですが、紙の手帳に細かい字でスケジュールを書き込んでいます。私が引き受けた重要な任務はすべてここに書き込みます。それとは別に、デジタルカレンダーを4つ使っています。スケジュール通りに仕事が運ばないと納得できないタイプなので、できるだけ余裕をみて、会合や電話、社内ミーティングに割く時間を割り振っています。限界まで予定を詰め込むことは決してしません。それから、私たちの会社はフランス各地に5つの事業所がありますから、人生の大半を電車や飛行機の中で過ごすなんていうことにならないように、私は「Appear.in」を活用しています。Appear.inは電話会議ができるネット上の無料サービスですが、これを一日中開いておいて、時間のある時に接続するようにしています。チームのメンバーには私のURLを伝えてありますから、誰でも現実のオフィスに入るように、私のヴァーチャルなオフィスに入ってくることができます。それからチャットができるSlackも、緊急の要件を処理するのに理想的なツールです。このおかげで、たとえ数分でも貴重な時間を節約できたことが何度もあります!」

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texte : Maïlys Khider (madame.lefigaro.fr)

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