『アマンダと僕』が描く、悲しみで繋がる姪っ子と叔父とパリの風景。
Culture 2019.06.30
幼い姪っ子と頼りない叔父、その結びつきが呼ぶ幸福感。
シングルマザーの姉が郊外の公園でテロに遭遇して逝く。その日暮らしの弟ダヴィッドは突如の事件にうろたえ、遺された7歳の姪アマンダの世話にも覚悟が決まらない。子どもっぽさの消えない優男と、しっかり者の少女。どっちが庇護者か、転倒ぎみのふたりの関係が、平常心を装った互いの喪失感を接着剤にして徐々に深まってゆく。並木道の緑が陽光に煌めくパリの、初夏の訪れのうららかな情景とともに。突発的な悲嘆から回復しようとするふたりの旅路は、ロンドンで思いがけない天啓に恵まれる。慎みを湛えたその芳醇さ。
*「フィガロジャポン」2019年8月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO
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