まぶたの日焼け止めの塗り忘れにご用心!
Culture 2019.07.30
リバプール大学の調査では、まぶたの2割は、日焼け止めが塗れていないことが分かった。
Nadezhda1906 -iStock
従来の日焼け止め剤 vs 乳液タイプ
日差しが強い季節がやってきた。日焼けは肌によくない、という認識が高まり、最近は乳液タイプやジェルタイプなど、さまざまな日焼け止めが発売されている。にもかかわらず、イングランドではメラノーマと非メラノーマ、いずれの皮膚がんも増えているという。
そこで英リバプール大学の調査チームはこのほど、従来型の日焼け止め剤と、保湿剤に日焼け止め効果をもたせたもの(乳液タイプ)に効果の違いがあるのかを検証した。結果は、科学誌プロス・ワンに発表されている。
日焼け止めを選ぶ際には、「SPF」の数字を必ずチェックするのではないだろうか。SPFは「Sun Protection Factor」の略で、紫外線B波から肌を守る効果が数字で示されており、数字が大きければ大きい方が効果が高い(最大は50)。
リバプール大学の調査では、同じSPFでも、日焼け止め剤の方が、日焼け止め効果のある保湿剤タイプのものより紫外線から肌を守る効果が高いことが明らかになった。また、実験参加者が日焼け止めを顔に塗る際に、乳液タイプの方が「塗り忘れ部分」が多いことも分かった。
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まぶたの2割は塗れていない
リバプール大学の眼科学・視覚科学学部の調査チームは、18〜57歳の男女84人(男性22人、女性62人)に参加してもらい実験を行なった。参加者には、SPF30の従来の日焼け止め剤と、同じくSPF30の乳液タイプの日焼け止めを、それぞれ別の日に顔に塗ってもらった。
塗る前と塗った後に、日焼け止めの効果が視覚的に分かる特殊なカメラで顔を写した。リバプール大学の発表文によると、このカメラでは日焼け止めがUVライトを吸収している部分は、暗く写る。つまり、日焼け止めの効果が高く出ていればいるほど、写真では色が黒く見えるという。結果は、乳液タイプよりも日焼け止め剤の方が、肌が全体的に暗く写り、紫外線を吸収していることが分かった。
この結果から判断すると、同じSPFの数字であれば、乳液タイプのものよりも日焼け止め剤タイプのものの方がカバー力が高いということになる。
調査チームはさらに、どれほどまんべんなく塗れているかについても分析した。日焼け止め剤の場合は、「塗りそこなった部分」は平均で顔全体の11%だったが、乳液タイプの場合は17%だった。
さらに、塗り忘れる可能性が高いまぶただけを見ると、日焼け止め剤の場合はまぶたの14%を塗りそこなっていたが、乳液タイプは塗りそこなった部分が21%に達していた。リバプール大学の発表文によると、まぶたは皮膚がんが最も発生しやすい場所だ。
英インディペンデント紙は、まぶたが太陽の光を過剰に浴びると、「基底細胞がん」につながる恐れがあるとしている。基底細胞がんは英国では最もよく見られるタイプの皮膚がんだという。
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UVブロック効果のあるサングラスを活用しよう
研究チームによるとさらに、実験参加者が乳液タイプを塗る時には、日焼け止め剤ほど重ね塗りしなかったことが分かったという。つまり、重ね塗りをあまりしない乳液タイプの方が日焼け止めの効果が薄くなる。
「自分がどれほどうまく塗ったと思うか」との問いには、日焼け止め剤の場合は90%の人が「うまく塗れた」と答え、実際にどれだけ塗れたかの画像(前述の特殊なカメラで撮ったもの)を見せられると、この答えは42%に低下した。また乳液タイプの場合も、写真を見る前と見た後では85%から38%に低下した。つまり「うまく塗れていると思っても実際はきちんと塗れていない」ことを示している。
調査チームのオースチン・マコーミック氏は、「日焼け止め剤でも乳液タイプでも、目の周り、特に鼻の近くは忘れがちです」と説明する。「UVブロック効果のあるサングラスなど、日焼け止め以外でもまぶたを紫外線から守る方法を考えた方がいいでしょう。乳液タイプだと日焼け止め剤と比べしっかり塗れていないようなので、太陽の光を長時間浴びるような場合は、従来型の日焼け止め剤を使うことをお勧めします」と話している。
ニューズウィーク日本版より転載