スター写真家リチャード・アヴェドンを見つめ続けた16年
Culture 2019.11.19
化粧品メーカー・レブロンの広告のため女優でモデルのローレン・ハットンを撮影
ファッション写真での成功を足掛かりに、写真の可能性を芸術の域へと押し広げたリチャード・アヴェドン
単なる写真家の枠を越えたアメリカ文化のアイコン的存在――こう形容して申し分ない人物が、リチャード・アヴェドンのほかに何人いるだろうか。ファッション写真での成功を足掛かりに、スターから市井の人まであらゆる人物を撮影。写真の可能性を芸術の域へと押し広げた。自身をモデルにした映画も公開された。
アヴェドンが既に絶頂期にあった1964年にアシスタントとして働き始めたのが、ギデオン・ルーインだ。以後、独立するまでの16年間にわたり、彼は濃密な白黒ポートレートで知られるアヴェドンの仕事を傍らで見つめ続けた。
日本の冬山からメキシコの海岸まで。ヴォーグやハーパーズ・バザーなどの雑誌を彩った美女たち。花盛りのアメリカ文化の一翼を担った写真家の仕事風景を、ルーインは折に触れて撮り続けた。
後に自身も写真家として成功したルーインの「アヴェドン時代」を収めた作品集『Avedon: Behind the Scenes 1964-1980』が、今月出版された。そこには、アヴェドンの作品作りの知られざる内幕が鮮やかに記録されている。
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1964年にニューヨークで開かれた個展で壁一面にコラージュされた作品群に見入るアヴェドン
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控え室でヘアメーク中の女優・モデルのレネ・ルッソ
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撮影で訪れたメキシコの海岸で「日焼けチェック」をするアヴェドン
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1967年、自身のスタジオで開いた新進写真家向けの講座で熱弁を振るう
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新潟県湯沢町でモデルのベルーシュカ(右)と力士が撮影のために寄り添う
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モデルのベルーシュカと、ヘアデザイナー&メイクアップアーティストのアラ・ギャラント。 1966年、東京。
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寒空の下、スタイリングされているベルーシュカ。北海道、1966年。
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パティ・ハンセン(右)の衣装を選ぶヴォーグのファッションエディター、ポリー・メレン(左)。ポリーは「アヴェドンはファション写真のあり方を変えた」を話す。1977年12月
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アイルランドにて鷹狩りを楽しむアヴェドン。1969年
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1974年のニューヨーク近代美術館(MoMA)での自作展に出展された亡き父親の巨大ポートレートを前に
Photographs from "Avedon: Behind the Scenes 1964-1980" by Gideon Lewin, published by powerHouse Books
撮影:ギデオン・ルーイン
イスラエル生まれ。ロサンゼルスの美術大学で写真と広告を学び、キャリア初期にアヴェドンを右腕として支えた。写真家として主要ファッション誌などで40年以上活躍。これらの作品は、11月19日発売の写真集『Avedon: Behind the Scenes 1964-1980』(米パワーハウス社)からの抜粋
ニューズウィーク日本版より転載
Photographs by GIDEON LEWIN