パートナーにムカムカ!しないための5つのヒント。

Culture 2020.04.05

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仕事に育児に夫婦生活……すべてを円滑にこなすのは簡単ではない。photo : Getty Images

仕事でストレスが溜まっても、職場や子どもの前では悟られないようにしているけれど(完璧かどうかは別として)、ときに(頻繁に?)パートナーがはけ口になってしまうことがある。イライラが爆発してパートナーにあたり散らすことなく、円満な夫婦生活を送るコツはあるのだろうか。

夜8時。今日も9時間みっちり仕事して(そのうち4時間は会議)、合間に同僚と軽く口論したり、ベビーシッターに電話を入れたり。帰りの電車の中では苛立ちを必死に抑え、ようやく自宅にたどり着いたあなた。夫が夕飯を用意して待っていてくれたらいいな、なんて淡い期待を抱いて玄関のドアを開ける。ところが、流しには朝食の食器が置きっぱなし、息子は皿にケチャップを出してお絵描き中。夫はというと、電話に気を取られて(「仕事の電話」と身振りで言い訳)、この状況をまったく意に介していないようだ。あなたはイライラして夫に非難のまなざしを向け、攻撃態勢を整える。

「おかしいよね。帰りが何時になっても、家事をするのはいつも私!」。苛立ちまぎれに皮肉たっぷりに言うあなた。電話を切ったところで、不意をつかれた夫は言い訳をする。(上手にストレスをコントロールできた場合)あなたはそれを無視するも、イライラは募る一方。

「君はまるで独裁者だ」と言い残して、夫は扉をバタン!――あなたはどうにか平静を取り戻し、息子をバスルームに連れていく。そして、罪悪感にさいなまれる。夫は口をきいてくれないし、息子には親の口喧嘩を聞かれてしまった。どの子育て本にも、子どもの前での喧嘩はいけないと書いてあるのに。フロイト先生、どうしたらいいの?

「これはもう、単に苛立ちを発散させている状態。気持ちが高ぶっているので、コミュニケーションが不可能になっています」と、児童精神科医のステファン・エリエズは分析する。ジュネーブ大学で教鞭をとるエリエズは『Etre parents et s’aimer comme avant(親でありながら、以前のように愛し合うには)』の著者でもある。

キャリアアップでますます重要な仕事を任される、子どもが誕生して夫婦間の意見の食い違いが表面化する。こうした要素が重なると、夫婦の口論は増えがち。「ある研究機関の調査では、子どものいるカップルが一緒に話しをする時間は、1日平均数分だといいます」。貴重な夫婦の会話が、文句や嫌味を言い合う時間になっては台無しだ。「コミュニケーションが足りないと自覚している人は多いのです。夫婦のカウンセリングを対象にした研究によると、実は夫婦仲がこじれるのは、話の内容より相手に対する言い方に問題があるようです」。エリエズ曰く、相手をおもんぱかった話し方を身に付けるためには、まずは「意識化(メンタライゼーション)」することが大切だという。

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相手に説明の機会を与える。

「意識化とは、自分や他者の精神状態を想像する能力です。自分にしろ他者にしろ、私たちを動かし、言動の元となる思考や、感情、信念、欲望、目的、理由を考え、解釈する努力をすることです」。要するに、子どもたちを寝かしつけていなくても、食器を洗っていなくても、相手には正当な理由があるという前提で、パートナーに優しくその理由を問いかけられるかどうか。

自分をコントロールするのは決して簡単ではないが、試してみる価値はある。もしかしたら電話の相手は上司で、何か緊急事態が発生したのかもしれない。あるいは、転倒した母親が電話をかけてきたのかもしれない。でもここで突っかかってしまっては、相手が落ち着いて理由を説明する機会を奪ってしまう。

「『あなたは絶対に食器を洗ってくれない』とか、『結局、お母さんのことがいちばん大切なんだから』と責めることは、“意識化”と正反対の態度です。なぜなら、相手の動機についての仮定をせずに、相手に自分の精神状態を押しつけてしまっていると言えます」。その結果、非難されたと感じた相手は当然、反論する。そして家庭内の緊張は高まっていく。

こうならないためには、まず自分自身の感情を分析すること。「自分はいま、ものを考えられる状態にあるのか、それとも自分の気持ちを発散しようとしているのか?と自問してみましょう」。5分間待って気持ちを落ち着かせ、それからパートナーと話し始めるといいと、エリエズは助言する。

「相手が何を考えているのかわかっているつもりかもしれませんが、実はわからないのだという前提が大切です。知らないからこそ、質問をしたり、相手に自分の精神状態をわかってほしいと言えるのです」。いちばんいいのは、相手の感情について憶測で話すのではなく、まず自分自身の感情について話すこと。「『キッチンを片付けないでお義母さんと電話しているのを見ると、私よりお義母さんの方が大切なんだと思ってしまう』。これが、“意識化”したコミュニケーションです」とエリエズは説明する。「これなら相手も弁解する余地があります」

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落ち着くこと。

話し合いがこじれそうな時、緊張した空気を和らげるにはコツがある。「人は過去のある状況について話していると、再びその時の感情を呼び起こしてしまうもの。私たちの脳はそのようにプログラムされています」

夫が職場で上司と揉めたとしよう。帰宅後そのことを話すうちに、夫のなかではふたたび怒りがよみがえってしまう。この状態で話し合いをするのは難しい。「相手の感情に目を向けることが大事です。相手が興奮していると感じたら、まずはクールダウンさせること。そのためには時間を巻き戻すのが有効です。怒りの原因となった出来事の前に起きたことを尋ねてみるといいでしょう」。たとえば、上司と口論になる前に何か前触れがあったのか、と聞いてみることで、相手の気持ちが落ち着くかもしれない。

もし夫が気付かぬうちにミスを犯していたと感じたら、「聞いていて思ったんだけど……」という言い方をしてみよう。夫が自分の言い分を滑り込ませることのできるような、オープンエンド型の問いかけ。「家と同じくらい職場でもいい加減なんだから、上司に責められるのも当然よね」などと頭から決めつけないことも大切だ。さて、ここまではおわかりいただけたと思う。

コミュケーションの時間を取る。

「こうしたことを難しいと感じる人も多いでしょう」とエリエズも認める。「特に現代の家庭は、外界の影響を受けやすいですから」。スマホに仕事のメールが入る、フォローしたいインスタグラムがある、夫にはいつも見ているテレビシリーズがある(でもあなたは興味なし)。などなど、夫婦円満の敵には事欠かない。子どもがいればなおさら。子どもがスマホを手放さない年齢になればその度合いは増すばかり。家族の時間は外界に徐々に侵食されつつある。それだけに、パートナーと一緒に分かち合う時間を持つことが重要なのだ。

「たとえば帰宅後、仕事から頭を切り替えるために、それぞれ10分間息抜きをします。そして20分間、1日の出来事を話し合う。互いにその日のことを話すことで夫婦仲が改善し、双方の不安が軽減することが研究で実証されています」。相手の言ったことにコメントする必要はない。相手の話に耳を傾け、自分の意見を言わずに質問をする、それだけでこの20分間がリラックスタイムになる。対話の目的や目標、挑戦などはひとまず置いて、ただふたりで一息つく。

「この種のトレーニングは、最初はわざとらしく感じるかもしれません。ですが、しばらく続けてみて。相手の感情を知るための唯一の方法は質問することなのだ、と理解しましょう」

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相手の価値観を大切にする。

相手の感情への気配りが重要になるシーンはさまざまだ。夫婦の性生活、子どもの教育、家事の分担、金銭についてなどなど、夫婦仲がぎくしゃくする理由はいくつもある。「こうした局面は、それぞれの理想の形を反映する場合や、過去の葛藤に影響を受ける場合があります」とエリエズは解説する。

「自分の父親のような影の薄い父親になりたくないために、家庭内ボスになろうとする夫。浪費癖のある自分の母親の記憶にとらわれて、家族の食費まで節約してしまう妻、といったように。自分ひとりでは解決できない問題を夫婦関係のなかで解消しようとしてしまう。しかし、こうした不安は夫婦で解決できるものではなく、かえって関係を損なう原因になってしまいます」

娘の進路、自分の昇進、ヴァカンスの行き先、これらの話題から夫婦喧嘩の勃発の避けるには、自分の理想に固執しないこと。「理想は多くの場合、現実離れした実体のないものです。その上、たとえ目標を実現しても、達成感はすぐに薄れ、フラストレーションは再び溜まります。パートナーは何をしても満足してもらえないと感じ、状況は難しくなるばかり」。40歳になる前に起業する、課長になる、別荘を買うーーそんな目標を追うことに必死になると、しまいにはお互いの気持ちが離れてしまう。夫婦それぞれが個々の目標に向かって邁進するその間に、ふたりの溝は深まっていく。

「人生のどの局面でも、私たちを支えるものは価値観です」とエリエズは言う。「価値観は進むべき方向を指し示してくれます。しかも目標地点を一方的に強制するようなことはしません」。相手への誠実さ、仕事と私生活のバランス、健康な生活……こうした価値観を夫婦で共有し、自分たちの生活に取り入れれば、ものごとを決めたり、共通のプロジェクトに着手するときの指針となる。「たとえば子どもの食事について一緒に考えたり、パートナーがしているスポーツを一緒に始めたり……相手のことを考え、ふたりで何かに取り組む機会を作る、その方法はいくらでもあります」

自分の時間を充実させる。

それにはまず、相手を必要不可欠としないことが大前提だ。それこそが強い絆で結ばれたカップルを支える基盤だとエリエズは言う。夫婦が互いに自己充足するためには、それぞれが精神的に自立し、気持ちが安定していなければならない。

「自分が充足していれば、相手に寄りかからなくなります。精神のバランスが取れている人は、必要だから共同生活をしているのではなく、パートナーとの生活を生き方として選んでいるのです。相手が自分の人生にもたらしてくれる付加価値を認めているからです。ですから、相手に自分の期待を押し付けることもありませんし、たとえ相手に自分の想像と違うところがあっても、相手をありのまま受け入れることができます」

要するに、自分自身を愛していれば、より長く幸せな夫婦生活を送れるというわけだ。

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texte : Sofiane Zaizoune (madame.lefigaro.fr)

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