電動自転車は本当に運動になるの?

Culture 2020.10.30

モーター付きの電動自転車なら速く走れるし、坂道だってらくらく。額に汗を掻くことも、太腿が張ることもない。ということはペダルを踏んでも、運動効果がないということ? 3人の専門家に話を聞いた。

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電動自転車は怠け者のスポーツ?photo : iStock

コロナ禍が長期化するなか、公共交通機関に不安を感じて、電動自転車で移動する人も。従来の自転車なら漕いでいるときに身体に負荷がかかるのはわかりやすいけれど、電動アシスト付き自転車の場合はどうなのだろう? 本当に運動になっているのだろうか?「これは実に頻繁に寄せられる質問です」と話すのは、パリのドルオ・クリニックのスポーツ医、ヴィクトリア・チャイコフスキだ。実際に、電動自転車はモーターが付いているおかげでスピードが出せる(最高速度はフランスでは時速25キロ、日本では24キロ)し、アシスト機能を活用して坂道も楽に上ることができる。つまりペダルを踏む労力を軽減してくれるのだ。

電動自転車を漕ぐときの負荷は、たしかに一般的な自転車に比べると少ないが、ゼロではない。「ペダルを踏むことは、それだけで運動になります」とドクター・チャイコフスキは指摘する。「ペダルを踏むような伸展・屈曲運動はリハビリでもよく利用されます。たとえ負荷は少なくても、運動効果があることに変わりはありません」

アシストの強度を調整する

さらに電動自転車は、座っている時間が長い人や、運動の習慣のない人、年齢の高い人にとって、体を動かすきっかけになる。「原付バイクとは違います。たとえ電動アシスト付きでも、従来の自転車と同じようにペダルを踏むわけですから、立派なエクササイズです」と、アヌシーのスポーツトレーナーで自転車競技専門のティボー・リシャールは強調する。

また、電動自転車は速く漕げば漕ぐほど、アシスト力が下がる仕組みになっている。「スピードを出すと、電動アシストは自動的にオフになります」(リシャール)。利用の仕方は乗る人次第。たとえば、平地を走るときはアシストをオフにして、坂道だけアシスト走行(アシストモードも調整できる)にすることもできる。「患者さんには、少しでもエクササイズになるよう、走行時間のうち75%はアシストをオフまたは弱くして走るようアドバイスしています」(ドクター・チャイコフスキ)

より長い距離を走ることに

電動アシストがあると安心なだけでなく、モチベーションも上がる。「多くの人が、最初に計画していたよりも長い距離を走っています。疲れたらアシスト走行にすればいいわけですから」(リシャール)

パリに複数の店舗を持つ電動自転車専門店ヴェロ エレクトリック共同創業者のシモン・スーサンは、顧客から健康面で効果があった、という声が上がっているという。「減量、心拍リズムの改善のほか、心理的にポジティブな影響があった、といった感想が寄せられています」。「もちろん運動の強度や持続時間によりますが、週に3回30分ペダルを踏めば、1ヶ月後には体調がかなりよくなっているのが感じられるでしょう」(リシャール)

ドクター・チャイコフスキによると、健康維持のために推奨される1日の歩数に達していない人でも、毎日電動自転車で通勤することで不足分がカバーできるという。電動自転車に1日30分乗れば、身体能力も心機能も鍛えられる、とも。2018年5月に学会誌『臨床スポーツ医学』に発表されたバーゼル大学の研究は、電動自転車は従来型の自転車と同じくらい健康によい、ということを検証している。

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texte : Louise Ginies (madame.lefirgaro.fr)

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