日常と地続きの非日常空間へ誘う、名匠の最新短編集。
Culture 2020.11.01
ここではないどこかへの希求を描いた短編集。
『ホーム・ラン』
スティーヴン・ミルハウザー著 柴田元幸訳 白水社刊 ¥2,640
特殊な研磨剤で鏡を磨くと、自分がいつもよりマシに見えた。しばらくぶりに対面した母親は「あなたのこと、誰だか知ってるわ」と言った。8つの短編は、そんな現実が少し揺らぐ瞬間で幕を開ける。13人の妻がいる男は、ひとりのパートナーでは補完できないそれぞれの妻がしてくれることを語る。野球の実況中継そのままのモノローグで、あっという間に宇宙へ。日常と地続きの非日常空間に誘う、名手ミルハウザーならではの魔法を堪能できる短編集。
*「フィガロジャポン」2020年10月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI
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