エディターが恋した、パリの本。

Culture 2020.11.15

いつだってパリが好き、パリに恋している、パリを夢見てる。そんなフィガロジャポンの編集部員に影響を与えた、パリにまつわる本を紹介します。


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1.フィガロジャポンの特集に、絶対欠かせないもの。

『Michelin Paris Plan / City Map』

parisbook-01--1-201028.jpgMichelin Travel Publications刊 ¥1,680(編集部調べ)

パリへと連れて行ってくれるという点で、小説や写真集と同じくらいの魔力を持つ(と個人的には思う)ミシュラン社発行の地図。フィガロのパリ特集づくりに欠かせないものでもある。以前のパリ旅を頭のなかで再現したり、次回のプランを夢想したり、映画の舞台をたどったり、街の成り立ちや歴史に思いを馳せたり……飽きることなく眺めていられる。(編集NS)

 

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2.「おいしい」を生み出す、豊かな風景に触れるエッセイ。

『日曜日はプーレ・ロティ』

parisbook-01-2-201028.jpg川村明子著 CCCメディアハウス刊 ¥1,650

パリ在住のフードライター川村明子さんが、フランスに移り住んでから現在まで、丁寧に重ねてきた暮らしについて、食べることについて綴ったエッセイ。「風景のあるおいしさ」という章があるように、料理や食材の背景にある豊かな時間までもが鮮やかに伝わる。本書を読んでから我が家でバターの登場頻度が急増し、ほぼ買わなかった生クリームが冷蔵庫のスタメンとなり、ついにマヨネーズは手作りに。(編集YUKI)

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3.そこに住まう人たちの、暮らしに思いを巡らせる。

『Paris Views』

parisbook-01-3-201028.jpgGail AlbertHalaban著 Aperture刊 79.95ドル

海外に行くと、街の建築物も気になるけどそこに住まう人にも興味を抱く。パリコレ時、定宿にしているホテルの向かいにアパルトマンが並んでいて明かりの中に住人が見えると、どんな人が暮らしているのだろうと想像する。きっとあちらも今日ホテルに泊まっているのはどんな人なのか、と気になっているはず。というのもいま自宅でホテルクラスカの窓を見上げながら、そう思っているから。(編集長RU)

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4.パリ好き、猫好きに捧げる、幸せすぎる写真集。

『パリにゃんⅡ』

parisbook-01-4-201028.jpg酒巻洋子著 産業編集センター刊 ¥1,540

興味があるのはアパルトマンとそこに住まう人だけでなく、猫に対しても同じなのであった。そう吾輩は猫好きである。うちの猫もそうだけど、窓辺に座って何を見るでもなく(いや彼らには何か見えてるんだろうけど)ずっとどこか一点を見つめていたりする。このパリにゃんたちもどんな瞳でパリの街を見下ろしているんだろう……と思いながらひとりひとりの顔を見るしゃーわせ。家の中も見られて楽しい。(編集長RU)

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5.街を歩き続けた人が捉えた、ウィットあふれる情景。

『パリ・ドアノー』

parisbook-01-5-201028.jpgロベール・ドアノー著 クレヴィス刊 ¥1,760

「私は写真を撮るために狩りはしない。ひたすら待ち伏せをするだけだ。」この写真集の最後に、ドアノーはこんな言葉を寄せている。あまり旅にも出ず、毎日パリの街を歩きシャッターチャンスを待っていた写真家の、人々を、建造物を、街を包む空気を見つめる視線はなんともユーモラス! でも、眼差しの優しさだけじゃない。その計算された画角の素晴しさに、ページをめくるたびに感動できる。(編集KIM)

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6.あらゆる匂いが混じり合う、18世紀の街を鼻で感じて。

『香水 ある人殺しの物語』

parisbook-01-6-201028.jpgパトリック・ジュースキント著 池内紀訳 文藝春秋刊 ¥858

読み始めたとたん、18世紀のパリの街の悪臭が鼻をつく。セーヌ川が運ぶ田舎の緑の匂い、庭園に咲くバラの芳香も。そして、生まれつき体臭がなく天才的な嗅覚を持つ主人公、グルヌイユが調合する香水のなんと甘美なこと! 処女の匂いを再現するために殺人を犯すというおぞましい展開なのだが、その香りを嗅いでみたくなるほど、全ページから“匂う”小説。翻訳もすばらしい。(編集SK) 

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7.行きたい店を網羅した、食いしん坊のためのバイブル。

『パリ、カウンターでごはん』

parisbook-01-7-201028.jpg伊藤文著 誠文堂新光社刊 ¥1,980

パリでのいちばんのお楽しみが食! という食いしん坊のためのバイブル。ひとりでふらりと寄れる店が豊富なので、読むたび「行きたい店リスト」が増えるいっぽう……。パリジャン&パリジェンヌに囲まれながらカウンターに座り、本で予習した料理のほか、店のおすすめメニューを気合いで読み解くのが至福のひととき。吉田タイスケさんの写真が素敵で、日本にいる時でもパリの味と雰囲気を感じさせてくれる。(編集MA)

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8.編集者という仕事とパリ、その憧れを加速させた作品。

『エレンの日記』

parisbook-01-8-201028.jpgエレン・フライス著 林央子訳 アダチプレス刊 ¥2,640

2001年から「流行通信」で連載された「Purple」の編集長エレン・フライスのエッセイ。撮影やコレクション、アーティストとの交流……エレンの日記は、学生だった私の編集者という仕事やパリへの憧れを加速させた。当時の彼女の年齢に近づき、いま読み返すと、ひとりの女性の生きざまがありありと描かれていることに気付く。あらためて、エレンの記憶とともにパリを歩いてみたくなった。(編集TAO)

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9.美しさと威厳を感じる、女性たちのポートレート。

『WOMEN FEMMES』

parisbook-02-1-201028.jpgMartine Frank著 Steidl刊 35.00ユーロ

2010年にシャネル・ネクサス・ホールで行われた写真展をもとに刊行された、写真家マルティーヌ・フランクの作品集。世代も国籍もさまざまな女性たちのモノクロポートレートの数々。パリでの撮影も多く、若きイザベル・ユペールから、教会に避難するアフリカ系移民の母子、高齢者施設の女性、クレイジーホースの楽屋で寛ぐダンサーまで、ハッとするような魅力と威厳をすべての女性たちに感じる。(編集YUKI)

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10.パリ⇔東京、ヌーベルバーグと出会った女の記憶と記録。

『影の部分』

parisbook-02-2-201028.jpg秦早穂子著 リトルモア刊 ¥1,760

当時ラッシュを観て衝撃を受け、ゴダールの『勝手にしやがれ』を買い付けた著者。彼女の「日本以外の国から日本を眺める」視線を通して、ヌーベルバーグが興った時代のヨーロッパと、戦後の日本の映画産業がどう対峙していったかが冒頭から描かれる。私的なエピソードを挟みつつ語られる、映画界を通して世界を観た著者の現代まで続く映画の旅。シネフィル、特にフランス映画好きにはたまらない。(編集KIM)

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11.貧乏な芸術家たちが、心豊かに暮らすパリで。

『移動祝祭日』

parisbook-02-3-201028.jpgアーネスト・ヘミングウェイ著 福田陸太郎訳 土曜社刊 ¥785

パリのおもしろさは、パリ以外から住み着いた人間にも彩られている。パリはボヘミアンの居場所。トゥール・ダルジャンは同じ建物の住人に安く料理を提供していたとか、名カフェでの芸術家同士の会話とか、パリを堪能した作家は、具体的な店や道のことを詳細に綴る。文字だけで五感がこんなに刺激され、パリの風景が目に浮かぶとは……ヘミングウェイってやっぱり天才。(編集KIM)

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12.シャルキュトリーに専門店……全部食べ尽くしたくなる!

『パリのお惣菜。』

parisbook-02-4-201028.jpg稲葉由紀子著 CCCメディアハウス刊 ¥1,760

煌びやかな三ツ星でも、こじゃれたビストロでもない、パリの“普通”の料理と食材の豊かさを味わえる稲葉由紀子さんの本。フィガロジャポンの連載をまとめた最初の1冊で、私は2006年から担当していたのだけど、この時にブランタードやピペラードといった伝統料理や地方料理の名前を覚え、パリのエスニックな地区と中東やアジア料理の数々を知ることができた。店主との温かな掛け合いも素敵。(編集SK) 

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13.彼が描いた風景と、きっと歩いてみたくなる。

『ユトリロ』

parisbook-02-5-201028.jpg千足伸行著 新潮社刊 ¥1,320

生まれ育ったモンマルトルの裏通りや、ひと気のないパリなど、寂寥感を覚える作品を多く描いたモーリス・ユトリロ。華やかではないものの、強烈な磁力のある画風の背景が、本書ではコンパクトに紹介されている。サクレ・クール寺院の裏手に出る『コタン小路』、ゴッホやルノワールも通ったキャバレー『ラパン・アジル』、ノートルダム大聖堂にほど近い『サン=セヴランの聖堂』など、モデルとなった場所を歩きたくなること必至。(編集NS)

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14.パリ、そしてモロッコで交わされた嫉妬するほどの愛。

『イヴ・サンローランへの手紙』

parisbook-02-6-201028.jpgピエール・ベルジェ著 川島ルミ子訳 中央公論新社刊 ¥1,870

「私たちが出会った日の、パリの朝のなんと若々しく美しかったことよ!」。そんな回想から始まるイヴ・サンローランのパートナー、ピエール・ベルジェが綴った手紙の数々。パリやモロッコを舞台に交わされた、ふたりの愛情、友情、そして互いへの尊敬がただただ美しい。取材でモロッコを訪れた際、パリ発マラケシュ行きの飛行機の中で読んでいたら、涙が止まらなくなった。(編集KH)

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15.目にもココロにも響く、部屋に花がある暮らし。

『花と暮らすパリのアパルトマン』

parisbook-02-7-201028.jpgジュウ・ドゥ・ポゥム著 主婦の友社刊 ¥1,100

ピンクのバラやラナンキュラスを花瓶ではなくさらっと空き瓶に挿す。そして何種類かの花や色をミックスして微妙なバランスを楽しむ。そんな飾り方が好きなのだがこの本の家主たちはもっとシンプル。でも見ているだけでほっとする。同シリーズの『パリのガーデニング』もA(花)かつB(アパルトマン)かつC(猫)でそちらもお薦め。選んだ本がそういう意味で1本筋が通ってて自分でもウケましたw(編集長RU)

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16.おじいちゃんのような、ジャン・ヴァルジャンに恋して。

『レ・ミゼラブル』

parisbook-02-8-201028.jpgヴィクトル・ユーゴー著 豊島与志雄訳 岩波書店刊 全4巻 各¥990〜

小学2年生の時、児童書版の『ああ無情』に出合った。主人公ジャン・ヴァルジャンは、心根の優しい怪力男。しかめ面で重い木材を持ち上げる大工の祖父と姿が重なり、この本が大好きになった。「いつか原文で読んでみたい」という思いからフランス語を学び、パリへ留学。いろいろな訳を読み比べた中でも、こちらは当時の社会的描写が細かく、アカデミックな“大人のレミゼ” !(編集MS)

※1ドル=約103円(2020年11月現在)

*「フィガロジャポン」2020年8月号より抜粋

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photos : HIROKO MATSUBARA

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