歯ブラシ、トイレ......やってしまいがちな衛生面のミス。
Culture 2021.01.03
何気なく行なっている生活習慣が、細菌を増やして体調不良に繋がってしまうこともある。医師によるアドバイスに耳を傾け、日々の行動を見直そう。
使用後の歯ブラシをしっかり乾かさないのは誰もがやってしまいがちなミスのひとつ。
コロナ禍であろうとなかろうと、公共交通機関の手すりを触るのは気持ちよいものではないし、消毒用ハンドジェルは手放せない……それは正しい。でも、あなたはトイレを流す時にいつも便座を下げているだろうか? そうではない人も多いはず。そうした日々の行動によって、私たちは衛生面でさまざまな害にさらされている。心臓専門医で栄養士のフレデリック・サルドマン医師は、私たちの健康に悪影響を及ぼしかねない行動を指摘してくれた。
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歯ブラシを乾かさない。
たいていの人は歯ブラシをコップの中に入れておき、食後に歯磨きをする際にそこから取り出す。しかし、よくよく調べてみると、そこはものすごい雑菌の温床だ。サルドマン医師はこう説明する。「多くの人は歯を磨き、歯ブラシを拭き、小さなガラスのコップに戻します。でもこれはやってはいけないことです。歯ブラシがしっかり乾いていない場合、細菌がそこで繁殖し、バスルームの湿度はさらにそれを悪化させます」。つまり、自ら口に細菌を入れていることになるのだ。
では正しい方法とは? マウスウォッシュに歯ブラシを漬ける、もしくはマウスウォッシュで歯ブラシを洗おう。それからブラシの間に何も詰まっていないか確認する。最後はティッシュを使って直接乾かし、乾いた場所にしまっておく。その際、洗面所の戸棚などの湿度が高い場所は避けたい。「体調を壊した後は、新しい歯ブラシに変えましょう。そうしないとせっかく適切な治療を行っても、ウイルスを完全に取り除くことができません」と医師は付け加える。
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枕を変えない。
「新しい枕を購入して2年が経過すると、その枕にはダニとフンがはびこっています。それはまったく健康的ではなく、アレルギーを発症する可能性があります」とサルドマン医師は指摘する。この不快な混合物を吸い込めば、すべて気管支を通る。
枕のせいで寝込まないためにはどうしたらよいだろうか? それにはよい改善策がある。理想的には枕を2年に1回買い換える。または近所のクリーニング屋でドライクリーニングをしてもらおう。
トイレを流す際、ふたを上げたままにする。
トイレの水を流すには、ただ単にフラッシュボタンを押せばよいわけではない。「フランスでは実際のところ、誰もがトイレのふたを上げたまま流しています。それは間違いです。たくさんの細菌やバクテリアが中に潜んでおり、ふたを開けたまま流すと汚れが全部外へと拡散されるのです」とサルドマン医師は指摘する。また彼は次のようにも述べている。「トイレの水洗が不十分だと、鼻や耳、喉の感染症のリスクが30%高まります」
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ランチョンマットの上で食事を摂る。
ランチョンマットはバクテリアに冒されている。photo:iStock
予約したレストランの席や自宅のキッチンテーブルを飾る可愛らしいランチョンマット。しかし、それらは日陰の存在だ。「多くの場合、ランチョンマットはスポンジで洗いますが、スポンジ自体が汚れており、汚れを取りきれずにむしろ汚れが増している可能性があります。これらのランチョンマットには細菌がはびこり、食器をその上に置くことになります。2人に1人はお手洗いに行っても手を洗っていないといわれますし、その後、そのままテーブルに着席しています……」と医師は言う。これらの細菌はあなたの口へと運ばれる。いっぽう、テーブルクロスは定期的に洗濯機で洗うため、細菌の拡散を最小限に止めることができる。医師は次のように主張する。「ホテルに滞在する際、シートを被せずに他人が使ったベッドフレームに直接寝ますか? それを使いたいと思いますか? それと同じことなのです」
定期的に冷蔵庫を掃除しない。
冷蔵庫の中のたくさんの食材を整理整頓するだけでは不十分だ。冷蔵庫の中を清掃することは病気を遠ざけるうえで不可欠なので、月2回は掃除したい。「水で薄めたお酢、または少量の漂白剤を混ぜた水を使って清掃する必要があります。冷蔵庫内の温度が低くても、髄膜炎などを引き起こすリステリアなどの細菌が発生する可能性はあります」とサルドマン医師は述べる。
texte : Lucie Rousselle (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi