寒い朝のランニング、最適な服装は?
Culture 2021.02.07
冬に外でランニングをする時には、必ず用意したい装備がいくつかある。
運動中の怪我や水分不足、あるいは過呼吸を防ぐためのアイテムとは? スポーツインストラクターのアドバイスと解説をどうぞ。
冬に外で走る時に、セーターを重ね着するのは本当に正しい防寒対策なのか? 寒い日のランニングに必須の装備をスポーツインストラクターがアドバイスする。photo : IStock
日曜の朝9時30分。外気温3℃の中、週に1度のランニングへ。コットンのTシャツにスウェットを重ね、その上にパーカーつきのセーターを羽織って、寒さ対策もばっちりーーしかしそれは間違い。
「その格好では走りにくいだけでなく、よけいな汗をかいてしまいます」とランニング専門インストラクターのウィリアム・シャンコニは警告する。「汗をかきすぎると水分不足に。水分が1%失われると、運動パフォーマンスは10%低下するのです」。また、乾きにくい素材の服で大量に汗をかくと、こもった湿気が外気で冷えるので注意が必要だ。
冬に走るための装備は、いたって簡単。いくつかのルールをしっかり守って、最低限必要なアイテムをそろえるだけでいい。「まず何よりも、身体の重要な器官の体温を37℃に保つことが大切。つまり、ボディと脳をしっかりカバーすることです」
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重ね着の理想は3枚!
真冬は、重ね着をする「玉ねぎのテクニック」がインストラクターのアドバイス。身体を冷やさないために最も効果的な重ね着だが、何でも重ねればいいというわけではない。「理想は、3枚の重ね着です。汗を逃してくれる通気性のいいインナーの上に、フリースなどの保温性の高い素材を重ね、天候に合わせて、風や雨を遮断するアウターを羽織ります」
ただし、綿は避けること。「綿は乾きにくいので、汗を掻くとすぐに湿って不快ですし、そのままにしておくと汗冷えを起こしてしまう」とシャンコニ。「たとえばスキー用トップスのような、通気性の高い合成繊維のものがいいでしょう」
ウィンドブレーカーは、水分の浸入をきちんと防いでくれる、防水加工による全天候型ウェアを準備しよう。風があると体感温度はぐっと下がる。「薄手のダウンベストは気温の低い日のランニングウェアとして最適。胴体はしっかりカバーしつつ、腕の部分は適度に空気が通るので蒸れません」。長袖のダウンは腕が動かしにくく汗がこもりやすいため、ベストのほうがおすすめだ。
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頭は37℃をキープ
最も重要な器官である脳を守る頭部は、体温37℃をキープすること。そのためには頭と耳を覆うことが大切だ。
「女性の場合は髪が頭を覆ってくれるので、耳当てだけで充分。髪が薄い人やスキンヘッドの人は、ランニング時に帽子をかぶるのを忘れずに」
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0℃以下ならレギンスが必須
「気温が3℃以下の時は、ショートパンツの下に通気性の高いレギンスを履くといいでしょう。0℃以下の場合は、必ず履いてください」とシャンコニは言う。レギンスを履いていないと、脚部の血液が外気で冷やされ、それが内臓や手足をめぐり、走っている間に全身が冷えてしまう。
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トレッキングシューズも活用して
冬に最も重要なのはやはり足を湿気から守ること。したがって、靴も、中の湿気をただちに逃すゴアテックスのような素材がベストだ。「トレイル用シューズは自然の中の未舗装の道を走るために作られた靴ですが、ランニングシューズとしても使えます。街中や野山、霜が張っている日、そうでない日、どんな状況でも大丈夫」とシャンコニ。
ローカットのトレッキングシューズもOKだ。「夏のランニングシューズは足が冷えたり、滑りやすい。冬のランニングにはトレイル用やトレッキング用の方が合っています」
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手足をカバーする
身体の冷えは手足から。手袋は必須アイテムだ。「走りながら携帯電話を操作するのに手袋を外したりはめたりするのは煩わしいので、携帯電話を持って走る人には、スマホ対応手袋をおすすめします」とインストラクターは言う。携帯電話はアームバンドで腕に固定するといい。
足元も重ね着が有効。本当に寒い時は、薄手の靴下と厚手の靴下を2枚重ねて履くといい。「ランニング専用の機能性の高い靴下もありますが、高価なものが多い。スキー用のウールの靴下でも充分役に立ってくれます」
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ランニング中の息切れを防ぐために
きちんとした防寒対策なしに、気温の低い屋外で運動をすると、筋肉を傷める危険がある。筋肉が正常に機能するには、やや高めの体温が必要なのだ。
「運動中に関節のスムーズな動きや、充分な可動域を確保するためには、靭帯の温度を37℃よりやや高めに保つことが理想的です」とシャンコニは言う。怪我をしないよう、最初の15分はゆっくり走ることを心がけよう。
しっかり装備を整えることは、呼吸器系のトラブルの予防にもなる。「寒い時は、体温を保つために心拍数が増します。ですから防寒対策は、息切れを防ぐことにもつながります」
texte : Louise Ginies ( madame.lefigaro.fr )