終わりの見えないコロナ禍を、前向きに乗り切るヒント。

Culture 2021.03.17

フランスでは一部で「週末ロックダウン」が実施されており、パリへの導入も懸念される中、精神的な疲労が溜まってきている。忍耐力が試されるこの状況でも、単純な楽観主義に陥ることなく、前向きに過ごすためにはどうしたらいいのだろうか。 専門家が詳しくアドバイスしてくれた。

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新型コロナウィルスのパンデミックが始まって1年になる。出口がなかなか見えない不安な日々を、どう乗り切ればよいのだろう? photo :  iStock

2021年は2020年より悪くなることはない、と確信していたけれど、似たような道を歩んでいることは明らかだ。新型コロナの新たな変異種、ニースとダンケルクでの週末ロックダウン、対策強化に対する恐れ…。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、3月1日にセーヌ=サン=ドニを訪れた際、ティーンエージャーからの質問に対し、4〜6週間の間は午後6時以降の外出禁止令を継続すると述べた。2月22日に発表されたフランス政治研究センター(Cevipof)の世論調査によると、フランス人の41%が、現在の精神状態について「困難な月日がこの先も待ち受けており、疲労感が高まっている」と回答した。

社会関係を専門とする心理社会学者であるドミニク・ピカールは、人々の間に広がる諦めと疲労感を実感している。彼女は次のように解釈する。「今、私たちの多くは失ったものだけに目を向ける傾向にあり、人生が何のためにあるのかを疑問に思っています」。将来の見通しが立たず、新型コロナウィルスによる危機からの出口がいつかもわからず、旅行にもいけず、何の予定もないなか迎える新しい年度を、我々はどう乗り切ったらよいのだろうか?

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科学の進歩を頼りにする

「2020年、新型コロナウイルスは私たちにとって未知の存在であったため、より恐ろしいものでした。2021年の特筆すべき違いは、ワクチンのおかげで希望が見えてきたこと。感染するという精神的な恐怖が少し軽減されました」と、パリの心理学者ボリス・シャルパンティエはいう。フランスで行われているワクチン接種のキャンペーンは、危機を終わらせるための主な希望の源の1つだと、シャルパンティエは話す。具体的かつ前向きなことを挙げるとしたら、それがこのワクチンだ。

私たちは、ネガティブなことにより固執してしまう傾向がある。「ネガティブな思考を打ち消す明らかな情報に耳を傾けようとすれば、我々のネガティブな思考を覆し、気持ちを落ち着かせることにつながります」

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情熱を取り戻す

ここ数ヶ月、映画ファンは映画館を、音楽愛好家たちはコンサートを楽しめない状況が続いている。 しかし、文化施設が閉鎖されているからといって、気分を盛り上げる趣味を楽しむことができないわけではない。「映画館に行けないなら、別の方法で映画を再発見する方法があります」と心理社会学者のドミニク・ピカールは述べる。

「週1本古い映画を再発見したり、これから発売される映画を調べたり、インタビュー映像を観たり、関連する動画を観たりすることができます。より文化的な目線で趣味にアプローチしてみましょう」。重要なのは、今の生活スタイルに合わせた楽しみ方を見つけること。気分をアップしてくれるものを今一度思い出せば、たとえ形が異なっていても、「今の生活」の中でできることがあると気付くことができる。

「我々が得られる全ての喜びや興味は、過去の生活スタイルでしか得られなかったわけではありません。喜びや興味に目を向ければ、嘆いていても仕方がないし今自分たちができる手段でやってみようという気持ちにもなります」

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心地よい生活環境を作る

現況ではできない活動が多いため、これまでの習慣を変えることが大切だ。失った過去のささいなことに固執していても、前に進むことはできない。「この状況がいつまで続くかはわかりません。ですから、私たちに合った、心地よい生活を送ることが大切です」とピカールは話す。例えば、お出かけしたい、おしゃれをしたい、子供の世話や家事などの日常生活から解放されたい…など自分の欲求を再発見すること。「外出して友人に会うというのが難しい今、この二つを切り離して、外に出ることの喜びを改めて発見するのもよいでしょう。例えば、シンプルにウォーキングをしたり、近所を散策したり、街を行き交う人々とすれ違ったり…」

テレワークでは、オフィススペースにもなる生活空間を模様替えするのも良いだろう。「環境が私たちの幸福に影響を与えることはもちろんですが、これまで以上に多くの時間を家で過ごすようになった今、家でくつろげることはとても重要です」とシャルパンティエは強調する。

ずっと懸案事項であったならば、今こそ家具を移動したり、部屋の装飾や寝具を変えたりする時だ。「これらの模様替えがあまり負担にならないようにする必要があります。家が一時的に散らかることや、大工事なら業者が出入りすることなどを念頭に置いておきましょう」とピカールはコメントする。

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人生の目標を持ち続ける

生きがいを感じるためには、コロナ禍以前に描いていた計画をもう一度持ち出すのもいいアイデアだ。不動産の購入、子供、旅行など。「コロナ以前から持っていた長年の目標や夢を諦めてしまうことは、自分の存在意義を揺るがすことになります」とピカールは強調する。転職など、中には先が見えない状況のせいで時間がかかるものもあるかもしれないが、マンションや家の購入、家庭を築くなど、その他の目標は達成することが可能だ。いま難しいのは、未来を描くこと。ゆえに人生の舵取りをしながら、1日1日を暮らすことを考える。「もっとよくなろうと前進しながら、今という瞬間を生きるすべを養いましょう」とシャルパンティエは言う。

毎日達成できて、パンデミックの状況に合わせて調整できる目標を持とう。たとえば、スポーツなら、ランニングを開始したり、毎日一定回数のプランクを行ったり。新たな言語や楽器などを学んだり。かつての「地下鉄→仕事→睡眠」に取って代わった「ベッド→デスク→ベッド」という退屈なリズムから抜け出し、前を向いて生きていくための何かを探そう。

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人との交流を続ける

孤独という感情は心身に重くのしかかる。電話やビデオ通話を使ってでも、他人と連絡を取り合い、家族や友人と交流する時間を確保することが不可欠だ。「もし電話が苦手でも、積極的に電話をかけるように心掛けて、『会うのとは全然違う』などと言うのはやめましょう」とピカールは話す。

画面や電話といったバリアはあるものの、話したり、連絡を取り合ったりできることには変わりはない。「実生活で他人と会えなくても、新たなオプションを利用することができます。例えば、サポートグループや共通の興味を持つ人々とグループZoomを作ることが可能です。他人との交流にはメリットがあります」

 

texte : Louise Ginies (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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