長生きのために実践したい、シンプルな7原則。
Culture 2021.05.11
長寿を専門とする2人の医師が、健康で長生きするためのシンプルな行動原則について語る。
より良く、長生するために心がけるべき簡単な7原則。photo:Getty Images
健康で長生きするためには、20歳であろうと60歳であろうと、日々のライフスタイルに、ある種の習慣を取り入れることが必要だ。栄養士でスポーツドクターのパスカル・ドゥエク(1)は、「新しい行動を取り入れ、メリットを得るのに遅すぎることはありません」と断言する。健康の味方となる7つの原則を紹介しよう。
1. 有毒物質を避ける
アルコール、タバコ、ドラッグの摂取は避けよう。「これらの有毒物質は老化を促進し、炎症誘発作用を持っています。これらは、すぐには目に見えない軽度の炎症を引き起こし、それがだんだん体内に定着して慢性疾患を引き起こす原因となるのです。アルコール、タバコ、ドラッグは平均余命の低下、特に健康状態の悪化の主な原因となります」とドゥエクは説明する。滅多にないイベントの場でだけグラスワインを一杯飲む、などと決めておくと、アルコール消費量を大幅に削減する良い方法となる。
2. 砂糖を減らし、野菜を食べる
私たちが消費する砂糖のほとんどは、「ブドウ糖だけで構成され、身体にビタミンや栄養素を供給しないエンプティカロリー(カロリーは高いのにもかかわらず、栄養は空っぽ)です」とドゥエクは言う。フランスの長寿医学生理学会の医師で会長でもあるクリストフ・ドゥ・イェーガー(2)は、完全に排除できなくとも「消費量を50%減らす」ことを推奨する。
また、ドゥエクは地中海式ダイエットを取り入れることを勧めている。「これは、健康と長寿の観点から期待されるすべてのことを満たしています。心血管系にメリットがあり、神経変性疾患の予防にも効果的です」。このダイエットでは、朝・昼・晩、主に果物と野菜を中心に、全粒穀物、ナッツ、魚、白身の肉を摂取し、加工食品を避ける。
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3. 体を動かす
犬の散歩、買い物、ガーデニングなど、毎日できる小さな作業は、より良く、そしてより長く生きるための原則だ。「座りっぱなしの生活は身体に甚大なダメージを与え、炎症を引き起こし、老化を加速させる原因となります。重要なのは、何時間も座り続けてはならないということです」とドゥエクは警告する。座って作業するときは、定期的に立ち上がり、ストレッチしたり歩いたりすることを忘れないで。
毎日の身体活動は不可欠であり、できれば一定のペースで行うことが望ましい。イェーガーは、毎日30分間、息が切れない程度にできるだけ速く歩くアクティブウォーキングを推奨している。「身体・心臓・脳への効果を得るためには、身体を動かし、心拍数を上げる必要があります」と老化生理学の専門家であるイェーガーは述べる。なお、その運動が自分に適しているかどうか、医師に相談することを忘れずに。
同時に、サルコペニア(筋力の減少)を防ぐため、筋肉をつけることが大切だ。「筋肉の欠如は身体能力の低下につながり、あらゆる老化の原因となります」と医師は警告し、2つの基本的なエクササイズを教えてくれた。
一つ目はプランク。目標は、ポジションを1分間キープし、5回繰り返すこと。二つ目はバランス運動。床に立ち、片方の太ももを胴体に対して垂直になるように引き上げ、バランスを保ち、反対側も同様に行う。これにより、加齢に伴う転倒のリスクを防ぐことができる。
4. 脳を刺激する
脳を働かせることで、生活の質が向上し、長生きすることができる。瞑想の実践、音楽演奏、言語学習が効果的だ。また、クロスワードパズルやカードゲームは、脳を刺激しながら遊ぶことができる。「脳は筋肉と同じで、訓練すればするほど、認知機能が高まり、神経変性疾患の発生を防ぐことができます」とドゥエクは強調する。
美術館を訪れる
美術館に行くと、心が解放されるだけではなく、ストレスや不安が軽減されるため、炎症のリスクを減らすという健康面でのメリットもある。モントリオール美術館とカナダのフランス語話者の医師会連合が協力して、特定の患者に50回の無料訪問を処方したのも納得できる。美術館が再開されたら、ぜひとも足を運びたい。
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5. 関係を維持する
友達と会ったり、散歩に出かけたり、恋人とデートしたり。新型コロナウィルスのパンデミックは、社会的な交流が我々の士気にどれほど重要な役割を果たしていたかを日々思い起こさせるが、医師たちもそれを実感している。「ストレスと孤独は心血管疾患の発症の危険因子です。豊かで社会的な交流を持つことは、精神に良い効果をもたらします。また、社会的な交流はストレスを和らげます」とドゥエクは述べる。
年齢に関係なく、セックスも非常に重要だ。喜びを与えてくれるだけでなく、相手との関係を必要とする活動であるため、ストレスを解消してくれる。「セックスはドーパミンの生成を促し、認知能力を向上させ、脳のパフォーマンスを高めます。また、セックスは喜びに加えて、老化の防止にも効果的です」と医師は続ける。
6. よく眠る
夜には少なくとも8時間は必ず眠ること。また、スクリーンを見るのは避け、寝る前に軽く身体を動かすことは、睡眠の質を高めるために行うべき小さなステップだ。眠りは「その日の経験を整理し、一日に受け取った情報を処理するのに役立ちます」とイェーガーは強調する。「とりわけ、睡眠時間は、筋肉・心臓を修復する時間でもある。眠らない場合、身体の修復機能が働かなくなってしまいます」
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7. ポジティブでいる
「コップの水がもう半分しかない」と考えるのではなく、「コップの水がまだ半分もある」と考えるようにしよう。くよくよしたり、過去を何度も後悔したりするのはやめよう。ポジティブでいることは、人生をより楽に、より長く生きるための素晴らしい方法だ。
ポジティブでいることは、ストレスを軽減するだけでなく、個人的な懸念から抜け出し、周りを思いやったり、人に会ったり、身体を動かしたりなど、さまざまなことに熱心になれる。これらはすべて、健康の味方となるのだ。
(1) Pascal Douek、『Les Nouvelles Clés de la longévité』、Leduc.s刊。
(2)Christophe de Jaeger、『Bien vieillir sans médicaments』、Le Recherches Midi刊。
texte : Kassandre Fradelin (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi