マッチングアプリ狂騒曲 合コンではモテるのに、アプリでは会ってもらえない人の秘策。

Culture 2021.05.15

馬越ありさ

SNSや電車内の広告などにも登場するようになった「マッチングアプリ」。さまざまなサービスが登場するなかで、ちょっと変わり種のイベントに参加した人もいるようです。現代の恋愛模様は、マッチングアプリの普及でどう変わったのでしょう。マッチングアプリを通じて見えた悲喜劇を、ライターの馬越ありさが綴ります。

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写真はイメージ photo:iStock_fotostorm

拓海さん(35歳)外資系IT企業勤務の場合

「合コンではモテてきたのに、マッチングアプリではなかなか、会ってもらえなかったんです」

そう言う拓海さんは、モテてきたという自信が醸し出す、特有の色気を放っていた。個性派俳優にいそうな少々クセのある顔立ちも、180㎝近い長身と自然な日焼け肌により、ワイルドな魅力として昇華されている。おそらく、ずっとスクールカーストの上位にいたに違いない。聞けば、中学3年生で初めての彼女が出来てから、彼女が途絶えたことがないという。

「高校も、地元の公立で共学だったんで……。彼女ができなくて困る、みたいな経験はなかったんですよね。慶應に入ってからも、インカレのサークルで女の子に囲まれてたし」

卒業後は外資系のメーカーに就職。合コンでネームバリューのある企業ではないものの、気に入った女の子とは高確率でデートに行けたというのは、コミュ力の賜物だろう。

「みんな可愛くて良い子だったけど、なんかしっくり来ないというか……。初めは、彼女が喜ぶ顔が見たくて、ホテルのアフタヌーンティーに付き合ってみるんですけど、毎月のように行きたいと言われると退屈で。正直、趣味のサーフィンや釣りをしている時間の方が楽しいと思うようになってしまって。結婚するっていう感じじゃなかったんですよね」

現在までに2回の転職をしているのも結婚のタイミングを逸した一因だと、拓海さんは自己弁護するかのように言う。

「転職の度にステップアップして、ようやく満足のいく環境を手に入れることができて。結婚を前提に彼女を作ろうと思った矢先、コロナ禍になってしまって、参りましたよ」

そんな折、大学の友人が美女と結婚したキッカケがマッチングアプリだったと聞き、さっそく、登録してみたそうだ。

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合コンではモテるのに、マッチングアプリでは会ってもらえないのは何故!?

「それが、マッチングはするのになかなか会ってもらえなくて。自分に問題があるのかなって不安になりました」

メッセージのやり取りの中で、インスタを交換したい、写真をもっと見たいと言われるのにも困惑したと言う。

「いままで、SNSに熱中していたり、自撮りをいっぱい撮っている男って、女子ウケが悪いと思っていましたから」

マッチングアプリのためにSNSを頑張る気にはなれず、どうしたものかと友人夫妻に相談した拓海さん。すると、奥様がマッチングアプリに登録していた当時は毎日100人以上からのメッセージが来ており、実際に会った人数は1%にも満たなかったと聞かされる。

「アプローチしてきたという男性陣のスペックの高さにも驚かされました。年収1,000万円を超えているくらいでは、埋もれてしまうんだなって。数をうつ以外の方法が思いつかなくて、片っ端からいいねをし、3か月で10人くらいと会ったんですが……。ようやく会えたと思っても、半分以上は写真詐欺で。会ってもらうためにメッセージのやり取りを丁寧にしてもムダじゃんって思っちゃったんですよね」

「写真どおりの子でも、何でいままで結婚していないのか邪推するような質問ばかりされて。デートではなく面接かよって感じで、気分が悪かったです」

拓海さんのように減点方式に引っかからない男性が独身であるということを、素直に喜べなくなっている婚活女子が多いのかもしれない。

「行きつけのバーでの出会いなら、こんなことにならないのにって思いましたよ。仕事帰りにフラッと寄って、顔がタイプの子がいたらお店の人を巻き込んで一緒に話してみて、自然と仲良くなれるのにって」

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マッチングアプリの新しいサービスとは?

自分にはマッチングアプリは向かなかったんだ……と退会しようとした時、マッチングアプリ主催のオンライン婚活パーティーの告知が目に入る。アプリ会員を集めたレストランを貸切っての婚活パーティがコロナ禍で開催できなくなり、代わりにWeb会議システムを通じて出会いの場を提供するというものだ。

「とりあえず……と思って申し込んでみたんですが、これがすごく良くて。6人の女の子とWeb会議システムで話せるのですが、前向きな女の子ばかりだったんです」

確かに、マッチングアプリという既存のシステムから一歩踏み出そうとする位だから、行動力のある人が多いのだろう。

「それに、6人とも可愛くて。イベント自体倍率が高いらしく、アプリに登録していれば誰でも参加できるわけじゃないのが良かったのかもしれません」

思わず全員に連絡先を聞いてしまったという。

「その後、3人と会えたんですが、みんな画面での印象と変わらない可愛さでした。静止画だと奇跡の1枚でごまかせるけど、動画だと加工にも限界があるのかもしれませんね」

コロナ禍で生まれた苦肉の新サービスが、マッチングアプリでのメッセージのやり取りが苦手だった人や、加工詐欺を防ぎたい人の救世主となったようだ。

次回は5月22日公開予定

馬越ありさ

東京都出身。慶應義塾大学を卒業後、メーカーで販売促進に従事しつつ、ライターとしても活動。

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