幸せホルモンを活性化する、シンプルな方法とは?
Culture 2021.06.15
ハグや数分のウォーキングなど、シンプルな行動や工夫で、自分で幸せホルモンを活性化することができる。さぁ、やってみよう!
photo : Getty Images
ストア派の全集を読む必要はない。私たちの脳は幸せを手に入れるための恩恵(セロトニン、エンドルフィン、ドーパミン、オキシトシン、ノルアドレナリン...)の宝庫だからだ。
「これらの幸せホルモンの特徴は、他のホルモンと違い、私たちの手に届くところにあること。自分の行動やライフスタイル、食生活を通じて、セロトニン(機嫌を良くするホルモン)やエンドルフィン(一種の天然のモルヒネ)、オキシトシン(愛情と精神的安心感を与えるホルモン)の生成を促すことができます」と、精神科医で依存症専門医のミッシェル・ルジョワイユー(1)は強調する。
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幸せをつくる食事
ニルヴァーナの境地に至るためには、食事が最適な方法だ。臨床心理学士で栄養専門家のサンドラ・エリクソンは、著書『このジュースがあなたを幸せにする』の中で、幸せになるために、以下の食事を提案をしている。
■夏のスムージー
「理想的なのは、ビタミンB、マグネシウム、トリプトファンが豊富なバナナをベースにしたスムージーと、アボカド入りのグリーンスムージー(亜鉛、マグネシウム、ビタミンB、脂肪酸、抗ストレス作用のあるチロシン)。亜鉛、ビタミンB、トリプトファンを多く含むショウガを少量加えてみてください」(サンドラ・エリクソン)
■カボチャのタネ、チアシード、ゴマ
これらには亜鉛とオメガ3が豊富に含まれているので、夏のサラダに振りかけると良いだろう。
■ビタミンB、マグネシウム、特に体内で生成できない必須脂肪酸であるオメガ3を多く含む食材
これらはセロトニンとメラニンを急速に生成する。イワシ、マグロなどがおすすめ。鶏肉、魚、豆類(乾燥グリーンピース、レンズマメ、乾燥インゲンマメなど)に含まれるセロトニンの前駆体となるアミノ酸の一種のトリプトファンも見逃せない。
■発酵食品
発酵食品は、神経伝達物質で覆われた第2の脳と呼ばれる腸の環境を整えてくれる。ミッシェル・ルジョワイユーによれば、キュウリのピクルス、ザワークラウト、ヨーグルト、漬け物は、機嫌のいい人が特に好む「笑顔印」の食べ物だ。もし発酵食品生活を始めるなら、少なくとも週に3回は摂取すること。
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エンドルフィンを活性化するために
ハグも、幸せホルモンを高めるのに効果的。 photo : iStock
筋トレマシンの使い過ぎは意味がない!「1日6分間(または653m)の早歩きで、体内のエンドルフィンを30%増やすことができ、ネガティブな感情、特にストレスホルモンであるコルチゾールを同じだけ減らすことができます」とルジョワイユー。彼によると、週に最低20分で、ネガティブな感情を取り除けるとすると、幸せのためには週1時間程度、時間を延ばせば良いという。
ハグはオキシトシンを体内に貯蔵するのに理想的な習慣だ。「たった20秒のハグで十分です」とフレデリック・サルドマン医師(2)は説明する。この習慣は空腹を減退させる効果があるため、サルドマンは食前のハグを勧める。
モチベーション、快楽、興奮のホルモンであるドーパミンは、例えば新しい趣味や、行ったことのない場所に行ってみるなど、いつもの心地よい場所から離れて、未知の領域を開拓することで呼び覚ますことができる。これは「クーリッジ効果」と呼ばれるもので、新しいものに刺激を受けることは、気分を盛り上げるには最適だ。これを機に、カイトサーフィン、ダイビング、ボリウッドダンスなどに挑戦してみては?
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瞑想でストレス解消!
瞑想は好循環をもたらす習慣。 photo : iStock
瞑想は、トレンド感があって、身体も心もスッキリする。心理学者ジャンヌ・シオ=ファサン(3)によれば、瞑想は脳に思いもよらない明白な効果をもたらすという。「週に2回、8週間続けると、ストレスホルモンであるコチゾールの血中量を下げ、エンドルフィン、セロトニン、そして安心感や社会性をもたらすホルモンであるオキシトシンの生成を促します」
「脳でエンドルフィン、オキシトシンが大量に分泌されると、日常の小さな幸せを感じるられるようになる。それによって、幸福ホルモンがさらに増大する」ため、瞑想はまさに好循環をもたらす習慣だ、とファサンは断言する。
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早起きをする
早朝の太陽光は元気の源に! photo : iStock
視神経を介した光は、視床下部を経由して、セロトニンを増加させる。太陽光をたっぷりと浴びながら2時間も過ごせば、十分に元気になる。
さらに、太陽光を浴びることで、空腹感が減り、集中力が高まり、記憶力もアップする。「早朝に太陽光を浴びると、より一層の活力を与えてくれます」と語るルジョワイユーは、「早起きの人は、遅く起きる人よりもずっと機嫌がいい」と付け加える。朝早く起きて、ヨガやランニングなどの“朝活”がブームになったのもうなずける。
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友達に会う
絵画鑑賞も、幸せの処方箋。 photo : iStock
社交的な人は、ほかの人より幸せ? 言うまでもない。ルジョワイユーによれば、愛着や心の安定を促すホルモンであるセロトニンの分泌をさらに活発にするには、アドレス帳を見るだけで十分だという。
そしていま誰もが、友人と一緒に美術館やコンサートに気兼ねなく出かけられる日が再び来ることを待ち望んでいる。それはなぜか? アートが、理性を司る左脳と、感情を司る右脳という2つの部位を「くすぐる」から。
「1日数分、絵画の前でリラックスすることができれば、アドレナリンが減り、神経細胞の増加を促します」とルジョワイユー。最高の処方箋は? モネの『ひなげし』。ゆっくりと時間をかけて鑑賞する人には、きっと幸せがやってくる...。
(1) Michel Lejoyeux著『Les 4 Saisons de la bonne humeur』(JC Lattès刊), Perla Kaliman, Miguel Aguilar著『Nourrissez votre cerveau. Neurosciences, aliments et 30 recettes savoureuses』(Odile Jacob刊)
(2) Frédéric Saldmann著『Votre santé sans risque』(Albin Michel刊)
(3) Jeanne Siaud-Facchin著『Comment la méditation a changé ma vie… et pourrait bien changer la vôtre !』(Odile Jacob刊)
text : Sophie Carquain (madame.lefigaro.fr), tradiction : Yuriko Yoshizawa