いまこそアートで、視野を広げたい......。今月の美術館4選!

Culture 2021.06.19

東京では緊急事態宣言明けも間近……とはいえ、まだまだ油断ならない状況が続きます。心騒がしい毎日を送っているからこそ、アートに触れ、いまという時代を見つめ直してみませんか?

グローバリズムの現実を見据える国際的視座。

『MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨』

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潘逸舟『波の収穫』2021年

若手作家の活動を通じて現代美術の潮流の一例を紹介するグループ展。本展では、パンデミックで数々の社会問題が露呈した時代に国や地域を超えて共鳴する表現や問題意識を提示する。オスロを拠点に、普遍的な身体を規格とした建築空間に相入れない身体の葛藤を父子関係から見つめる小杉大介。幼少期に上海から青森に移住し、国家間で揺れ動く主観性を詩的に描く潘逸舟。現在も究明や裁判が続く自国ペルーの内戦の記憶を探求するマヤ・ワタナベ。映像を中心に、身体表現を取り入れ、社会のシステムや規範と対峙する人々の葛藤や応答の身振りを描く彼らの国際的な視座から、情報や交流の経路が狭まりがちないまこそ見えてくる現実がある。

『MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨』
会期:7/17 ~ 10/17 
東京都現代美術館(東京・清澄白河) 
営)10:00 ~ 18:00 月(8/9、9/20は開館)、8/10、9/21 
料)一般¥1,300 
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp

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ストリートを越えてゆく社会への浸透力。

『KAWS TOKYO FIRST』

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『KAWS SEEING』2018年 © KAWS, photograph by Jonty Wilde

90 年代にニューヨークのグラフィティアートシーンに出現して以来、コンテンポラリーアート界で世界的に知られるようになったKAWS の国内初の大型展。コマーシャルアートとファインアートの領域を横断する視覚的アプローチに迫る絵画や彫像、プロダクトの展示を通して、そのユニークな芸術制作の軌跡や美術史的意義を辿る。デザインの領域へも進出し、SNS などを媒介に社会に拡散・浸透した彼の作品世界は、すでにある文化や文脈の上に自分のアイデアを上書きすることで新しい価値を作り出してきた。本展では長年にわたるインスピレーションの源泉であり、強い繋がりを感じるという日本文化にメンションする新作も登場か?

『KAWS TOKYO FIRST』
会期:7/16 ~ 10/11 
森アーツセンターギャラリー( 東京・六本木) 
営)10:00 ~20:00(7/19は~17:00) 8/5 料未定 
050-5542-8600(ハローダイヤル) 
www.kaws-tokyo-first.jp
 

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美術館と作家たちが新たな時代に架ける虹。

『虹をかける:原美術館/原六郎コレクション』

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ジム・ランビー『トレイン イン ヴェイン』2008年 撮影:木奥惠三

東京での活動を終了した原美術館と、群馬県の別館が統合されてから初となる展覧会。多様性や共存、平和の象徴でもある虹をテーマに、原美術館の設立時から収集してきた、1950 年代から現在までの世界各地の現代美術で構成される原美術館コレクションと、明治時代の産業振興に貢献した実業家・原六郎の古美術コレクションからなる原六郎コレクションより、多彩な作家たちの表現を展観する。さらに長年根強い人気を集めてきた、奈良美智、宮島達男、森村泰昌の常設作品がリニューアルされ、新たな美術館の顔として迎えてくれる。長閑な自然に囲まれた場所で、人と人とがアートを通じて対等に交流するための架け橋となる活動に期待が高まる。

『虹をかける:原美術館/原六郎コレクション』
会期:第1期:開催中~ 9/5 第2期:9/11/ ~ 1/10 
原 美術館 ARC( 群馬・渋川) 
営)9:30 ~16:30  木(7/ 22、8/5、12、19、26、9/23は開館)、1/1 
料)一般¥1,100
tel : 0279-24-6585 
www.haramuseum.or.jp

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万能のシュルレアリストの親密な交友録。

『マン・レイと女性たち』

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『眠る女(ソラリゼーション)』1929年、個人蔵 Photo Marc Domage,
Courtesy Association Internationale Man Ray , Paris,
© MAN RAY 2015 TRUST / ADAGP , Paris & JASPAR, T okyo, 2021 G2374

20 世紀を代表するシュルレアリスムの芸術家、マン・レイの人生には多くの親密な女性が登場する。気鋭の写真家の被写体になろうと、前衛芸術家をはじめ、モード界や社交界の著名人たちも彼のパリのスタジオに出入りした。彼の交友録ともいえるポートレートには、時のミューズたちをモデルにした、甘美でありながら強く神々しい女性像が残されている。本展では愛と別れ、知的な発見や考察、冒険や遊びを体験した時間軸をタテ糸に、恋人のキキ・ド・モンパルナスやリー・ミラーなどの女性たちをヨコ糸に、詩的で機知に富んだ万能の作品世界を振り返る。1920〜30 年代のパリのファッションを着こなす、自由で自立した女性像に刮目したい。

『マン・レイと女性たち』
会期:7/13 ~ 9/6 
Bunkamura ザ・ミュージアム(東京・渋谷) 
営)10:00 ~ 18:00( 金、土は~ 21:00)7/20  
料)一般¥1,700 
050-5541-8600(ハローダイヤル) 
www.bunkamura.co.jp

 

新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。
最新情報は各展覧会のHP をご確認ください。

※『フィガロジャポン』2021年8月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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