劇場で観る感動は、あなただけのもの。今月の映画3選!

Culture 2021.07.10

東京は四度目の緊急事態宣言……。心くじけそうな時ほど、映画の力を信じたくなる。香港の青春劇から、全編モノクロのスリラー、アカデミー脚本賞受賞の社会派エンターテインメントまで、今月のおすすめ作品をピックアップ! 感動はもらうものでも、与えるものでもない。自分の心のままに、スクリーンを見つめて。

極点まで抑えほとばしる、初恋と反抗のパッション。

『少年の君』

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舞台は2011年の香港の進学校。ある事件をきっかけに、成績優秀な女生徒チェンは良家の娘グループのやっかみの標的となる。稼ぐため危ない橋を渡るひとり親にそれを打ち明けられず、統一試験に受かって地元を離れるまでの辛抱と冷静に耐えるも、いじめは執拗さを増す。その時、ストリートに生きる少年シャオベイとチェンは出会う。境遇は違えど、ふたりは傷と孤独を抱えた同志だ。少年が影のようにチェンを援護しようとするあたり、骨太の青春ハードボイルド活劇に、抑えに抑えた初恋と反抗の激情が水しぶきを上げるよう。名脇役だったエリック・ツァンの息子、デレクの演出の才が、香港映画黄金期の脈動を継いで炸裂する。

『少年の君』
監督/デレク・ツァン 
2019 年、中国・香港映画 135 分
配給/クロックワークス 
7月16日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開
https://klockworx-asia.com/betterdays

新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

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老若ふたりの愛憎渦巻く、極限下のスリラーの風格。

『ライトハウス』

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19世紀末のニューイングランドの孤島に無口な若者が赴任してくる。ここは俺の聖域、とでも言いたげに老灯台守は灯台の展望階に若者を近づけない。交代制のはずなのに。やがて、大嵐が島を襲う。老人はほら話好きの元船乗り。若者は森に惹かれる元木こり。嵐の高揚は互いを冗舌にし、救いの船が水平線に消えると一転、失望が極限状況下のパワーバランスを揺さぶる。『ウィッチ』の異才が挑むモノクロームの陰影豊かな神話的闘争劇=ふたり芝居に、ウィレム・デフォーとロバート・パティンソンが全霊を注入。カモメや霧笛が幻想を呼ぶのか、海藻に埋もれたあやかしの「人魚」の正体は? カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。

『ライトハウス』
監督・共同脚本/ロバート・エガース 
2019 年、アメリカ映画 109 分
配給/トランスフォーマー 
TOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開中
https://transformer.co.jp/m/thelighthouse

新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

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毒入りの甘い誘惑が、男社会の急所をえぐる。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』

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「将来を嘱望された若い女性」だったキャシーは、パーティで酔いつぶれた親友ニーナが辱めを受け、自殺にいたったショックから有名医大を中退。昼はコーヒーショップの店員を務めながら、夜な夜なバーに出向いて「泥酔の女」を演じ、無防備につけ込む偽紳士たちにひと泡吹かせる。そして怒りの矛先は本丸のエリート医へ。キャリー・マリガンが妖しく演じるキャシーの猛毒が、アメリカン・ナイスガイの面の皮を剝ぐだけじゃなく、男社会の守り人の女たちにも向かうのが、この痛快復讐譚のキモ。さらに、復讐は副筋のロマンス要素と化学反応を起こし、ネタバレ絶対禁止のヤマ場を迎える。今春の米アカデミー賞で脚本賞を受賞。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』
監督・脚本/エメラルド・フェネル 
2020 年、アメリカ映画 113 分
配給/パルコ 
7月16日より、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国にて公開
https://pyw-movie.com

新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2021年8月号より抜粋

text: Takashi Goto

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