齊藤工と狐火、『ゾッキ』特集上映で目黒シネマに登場!

Culture 2021.07.20

現在、映画『ゾッキ』の特集上映が東京の目黒シネマで開催中。7月18日(日)には齊藤工が監督・企画・原案・共同脚本・撮影を担当した映画『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』を併映、劇中歌を担当するラッパーの狐火がスクリーン前に登場してパフォーマンスを披露した。そして上映後には齊藤と狐火が登壇し、トークショーが行われた。

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4度目の緊急事態宣言を受け、客席は半数となってしまったが、席に置かれているのは着席禁止のサインではなく、齊藤が撮影した『ゾッキ』キャスト・スタッフのモノクロポートレートや上映作品のフライヤー。その光景は現代アートのインスタレーションのようにも見える。狐火は、リハーサル時には客席に大物俳優が座っているようで緊張した、とコメント。「今日はお客さんが入って、ステージ上からいい風景を見られました」

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齊藤は『ゾッキ』と『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』についてこう話す。
「『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』の上映が昨年の2月で、その初日を迎える少し前に、『ゾッキ』の僕のパートがクランクアップしたんです。だから、コロナで途切れた時空の終わりと始めに向き合っていたのがこの2作品。今回の同時上映は必然のようにも感じられました」

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互いの近況を報告する中で、「最近はどうしていますか」と狐火に聞かれ、齊藤は「最近は漂流していまして」と、7月23日からスタートするテレビ朝日系ドラマ「漂着者」クランクイン時のエピソードを披露した。

「海岸に漂着したシーンを撮っていたのが昼頃で、潮が引いてヤドカリたちがいっせいに海に帰っていくんです。彼らの道中に僕がいたので何十匹も通り過ぎて、その中の1匹がおへその下あたりに穴を開けようとしていて、ここに住もうという意思を感じるんです。もし僕が耐えていたら、“宿”としての役割を果たしていたかもしれない(笑)」

日本のドラマ撮影におけるコンプライアンスにも触れながら、上映初日から約1年半が経った『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』について、こう振り返る。

「『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』には、いい意味でコロナ禍が反映されていない。後に『C●RONAPLY+-ANCE コ●ナプライアンス』という作品に昇華していきますが、好き勝手に描かせてもらえた作品。コロナ禍以降は、作品を描く可動域みたいなものが絞られるように感じます。狐火さんの作品はまさにそうですが、いま皆が共有している状況下において生み出すべき作品は、いまという時代をどれだけトレースして、自分という媒体を通して伝えるか、その速度感をエンタメは問われている。だから、この作品はコンプライアンスというものに対して斜め上から自由に表現した、最後の作品なのかなと思います。1年前だけれど遥か昔のような気もするし、特に今日はいろいろな意味で、偲ぶような時間だったと思います」

今回の特集上映が行われている目黒シネマにも、齊藤は特別な思い入れがあるという。

「目黒シネマさんには学生の頃に観客として訪れて、後ろのあのあたりの席によくいたんです。その場所で自分の作品が上映されて、しかも映画を創る志を抱くきっかけになった竹中直人さんの『無能の人』が明日ここでフィルム上映されるという、かつての自分からすれば夢のような幸せな瞬間です」

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狐火はこれまでにも『COMPLY+−ANCE コンプライアンス』上映に合わせてたびたび生のパフォーマンスを披露してきたが、今回についてはこのように語る。

「もう二度と劇中ライブはできないんじゃないかと思っていたので、とても刺激になりました。世の中の流れに沿って、齊藤工さんがすごいスピードで対応し、進化しているので、僕も頑張ってついていこうと思って、毎回劇中ライブをやらせてもらっています。普段はライブハウスでライブしていますが、そこでは得られない別の刺激をいつももらっています」

齊藤がこの日着ていたのは、狐火のクラウドファンディングプロジェクト「狐火ノーギャラライブツアー」のTシャツ。狐火がオファーを受けた日本全国のライブハウスで、ノーギャラ(出演料なし/交通費・宿泊費等自己負担)でライブを行うための応援プロジェクトだ。

「僕らが表現する何倍もの速さで『いま』を表現する、狐火さんの楽曲はまるで映画を観ているようで、日本の映画にしかできない表現って何だろう、と聴きながらいつも考えます。ミニシアターやライブハウスなど、人が集まる場所はどこも苦しい状況にある中、狐火さんは今年の頭に、ライブハウスに呼ばれたら無償でライブをします、と宣言して、その試みに対してクラウドファンディングで200%以上の支持が集まった。劇場とパフォーマンスする人、支える人の循環というものの純度が本当に高くて、なんてピュアなんだろう、と。それに着想を得たのが『Mini Theater Art』なんです。デッドスペースはデッドじゃない、観点を変えることで生きた場所にしたいという思いを、目黒シネマさんが容認してくださった。僕が『活動寫眞館』という連載をしているフィガロジャポンは、冊子『モノクロゾッキ』を作ることに尽力してくれた。オフィシャルなものではありますが、オフィシャルな感じは一切ない、ある意味コロナ禍がより強く人と人を繋げてくれていることを実感しています。

そして最後にもうひとつ、皆さんにお届けしたいものがあります。この作品については言語化する必要はないと思っているので多くは語らず、皆さんに届くことを願っています」

そう言って齊藤は舞台を降り、スクリーンに映し出されたのは、齊藤が2020年7月18日に撮影した秩父の美しい森の風景にのせた、狐火の楽曲「FUTURE」のMV。生で披露する狐火のパフォーマンスは力強く、心の奥深くまで染みわたるように響く。音楽の力、映像の力を、劇場という場所でしか叶わない形でそれぞれが実感するようなひと時だった。

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目黒シネマでの『ゾッキ』特集上映は7月23日(金)まで。劇中に登場した人形や、竹中直人監督による直筆絵コンテ、齊藤が『ゾッキ』イベントで着用した衣装などを展示。『ゾッキ』Tシャツや、売り上げがすべて劇場の収益となるミニシアターパークのTシャツ、『ゾッキ』アナログ盤サウンドトラックなども販売している。来場した俳優や関係者たちのサインを見つけるのも楽しみのひとつ。『ゾッキ』ワールドをまだ体験していない方はもちろん、もう一度観たい!という方もぜひ足を運んでみて。

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『ゾッキ』特集上映
「見たことがあるようで見たことがない!とんでもない世界が底にある!底!底!底ツボ!あなたはこの映画のそこに触れる!」

期間:上映中〜7月23日(金)
会場:目黒シネマ
東京都品川区上大崎2-24-15
www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/now_showing.html
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『ゾッキ』
●監督/竹中直人、山田孝之、齊藤工
●脚本/倉持裕
●出演/吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー(コウテイ)、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺佑太朗
/石坂浩二(特別出演) 松田龍平 國村隼
●原作/大橋裕之『ゾッキA』『ゾッキB』カンゼン刊
●主題歌/Chara feat.HIMI「私を離さないで」
●2020年、日本映画
●113分
●配給/イオンエンターテイメント
©️ 2020「ゾッキ」製作委員会
https://zokki.jp

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