目標はグラミー受賞! 次世代ガールズバンド・CHAI。

Culture 2021.08.11

From Newsweek Japan

「NEO KAWAII」を掲げ国内外で人気上昇中のバンド。「鎖国した日本の音楽市場を開国する象徴に」との予言も。

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CHAIは米名門レーベルのサブポップに所属し、世界市場で勝負する。 ©Yoshio Nakaiso

今年4月、ニューヨークのタイムズスクエアに日本人女性4人の顔が大映しになった。音楽配信大手スポティファイの広告として登場した、ロックバンドCHAI(チャイ)の面々だ。

メンバーは双子のマナ(ボーカル、キーボード)とカナ(ボーカル、ギター)、ユウキ(ベース)、ユナ(ドラム)。名古屋で結成し2017年にデビューして以来、CHAIは国内外で破竹の勢いで躍進している。

パンクやヒップホップ、エレクトロを織り交ぜた雑食的な音楽性と、アメリカのバンド、ディーヴォに触発されたというおそろいの衣装。あるがままの容姿が美しいことを認め、かわいさの拡張を目指す「セルフ・ラブ」を唱える日本語・英語交じりの歌詞。ときには確かな演奏力に定評のある楽器を手放し、4人でダンスを踊る刺激的なパフォーマンス。強烈かつ普遍的な世界観を武器に、ステップアップを重ねてきた。

2017年に出演したアメリカの音楽・映画・ITの祭典SXSW (サウス・バイ・サウスウェスト)を皮切りに、大型ロックフェスへの出演を含めて欧米やアジアでのツアーを何度もこなしてきた。

海外のライブで観客たちがバンドコンセプトの「NEO KAWAII」を熱く吠えるのを見ると「最高にゾクゾクする」(ユウキ)と、メンバーたちも自分たちの音楽だけでなくメッセージが伝わっている手応えを語る。

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グラミー賞のその先

CHAI - IN PINK (feat. Mndsgn) - Official Music Video

ニューヨーク・タイムズなど欧米の主要メディアやミュージシャンも彼女たちを高く評価する。ライブを見たディーヴォのメンバー、ジェラルド・キャセールからは「衝撃的過ぎて、良い意味で理解できない」と手放しで絶賛されたという。

昨年からは歴史ある米レーベル、サブポップに所属。「グラミー賞を受賞する」という結成以来の目標が現実味を帯びてきた。「やるからにはトップがいい」と、マナは当初から海外を見据えてきた理由を語る。「むしろ世界と日本を分ける理由が分からない」とユウキも口を添える。

デビュー前の新宿の小さなライブハウスでさえそのパフォーマンスは抜きん出ており、「無敵のスペシャル感があった」とCHAIの活動を学生時代から手伝ってきたマネージャーの小山和歌子が言うように、不思議な推進力のあるバンドだ。

「バンドという既存の概念にこだわらない」。その信条はコロナ禍で制作した最新アルバム『WINK』にも表れた。スタジオで集まって演奏するこれまでの制作方法を転換。各自が録音した素材をオンラインでやりとりし、海外のミュージシャンとも共作。バンドサウンドの枠をはみ出す開放的かつ深みのある作品に仕上がった。

普遍的な魅力を持つCHAIは「鎖国した日本の音楽市場を開国する象徴になり得る」とプロデューサーの石川大は予言する。グラミー賞はセルフ・ラブを広める使命のあくまで通過点、と語る彼女たちが日本と世界をつなぎ直す日は近いかもしれない。

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※8月10日/17日号(8月3日発売)は「世界が尊敬する日本人100」特集。市川海老蔵、猪子寿之、吾峠呼世晴、東信、岩崎明子、ヒカル・ナカムラ、菊野昌宏、阿古智子、小澤マリア......。免疫学者からユーチューバーまで、コロナ禍に負けず輝きを放つ日本の天才・異才・奇才100人を取り上げています。

 

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text: Tomohiro Sawada(Newsweek japan)

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