「007は女性が演じるべきでない」ダニエル・クレイグ発言の真意は?

Culture 2021.09.28

007役を卒業するダニエル・クレイグは、ジェームズ・ボンドを女性が演じるべきではないと語った。こうした発言の背景にはハリウッドでの多様性への配慮がある。

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米国映画批評会議賞受賞式ガラパーティーでのダニエル・クレイグ。 (ニューヨーク、2020年1月8日) photo: Abaca

10月1日 に公開される『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でボンド役を卒業するダニエル・クレイグに、新しいボンド役は多様性を考慮して選ぶべきだろうか?という質問がぶつけられた。クレイグは、「単純に答えよう。女性や有色人種の俳優にはもっと良い役があるべきだ」と答えた。

さらに、「どうして女性がジェームズ・ボンド役を演じなければならないのだろう。ジェームズ・ボンドに匹敵するぐらい素晴らしくて、しかも女性のための役があるべきなのに」と続けた。ジェームズ・ボンドを女性が演じるべきではない、なぜなら「同じぐらい立派な女性固有の役をもらうに値する」からというのがクレイグの意見だ。

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ジェームズ・ボンド役に女性を。

 

このラジオタイムズ誌のインタビューで、クレイグは脚本家のフィービー・ウォーラー=ブリッジについても語っている。フィービーはイギリスのテレビドラマ『フリーバッグ』の女優兼脚本家兼テレビプロデューサーで、新作007映画の脚本にも参加している。「フィービーはボンドを変えるために来たのではない。ストーリーを確実に盛り上げるために参加したけれど、彼女はボンドファンなんだ。方向性を変えるために来たわけじゃない」

ジェームズ・ボンド役に女性を、という議論が再燃するなかで、『007/ダイ・アナザー・デイ』でボンドガールを演じたハル・ベリーは2017年、米のテレビトークショー『エンターテインメント・トゥナイト』ですでにこんなふうに語っている。「このシリーズは歴史があるし......イアン・フレミングの原作はご存知でしょう。ボンドを女性に変えることはできないと思います」

プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ も2019年にイギリスの情報番組『グッド・モーニング・ブリテン』で同様に、「女性をテーマにした女性についての映画を作るべきですが、単に男性キャラクターを女性に置き換えるのではなく、女性のキャラクターを創り出さなくてはなりません」と言っていた。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、初の女性エージェントをラシャーナ・リンチが演じる。彼女がダニエル・クレイグに代わって新たな英国スパイとなるのだろうか?

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誰が次に女王陛下に仕えるのだろう?

次のボンド役はまだ決まっていないが、多くの名前が既に飛び交っている。イギリスのテレビドラマ『刑事ジョン・ルーサー』の主演俳優イドリス・エルバは、ファン投票で一位となり、ボンド役に黒人はありかなしかの大論争を巻き起こした。米のテレビドラマ『HOMELAND/ホームランド』のダミアン・ルイスの名前もあがっており、こちらは実現したら初の赤毛ボンドとなるだろう。

他にも、テレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で知られるようになったリチャード・マッデン、マーベル映画でロキ役を演じるトム・ヒドルストン、テレビドラマ『ウィッチャー』の魔法剣士役のヘンリー・カヴィル、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で若き日のマグニートーを演じたマイケル・ファスベンダー、『ヴェノム』などのスーパーヒーロ映画で知られるトム・ハーディなどの名前が挙がっている。今のところ、一切の発表がなく、すべて憶測でしかない。

 

text: Alice Mascher (madame.lefigaro.fr)

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