黒河内真衣子が選ぶ、日常の美学を磨く4冊。

Culture 2021.10.18

ブランド創設10周年を迎えたMame Kurogouchi。これまでの軌跡を描いた本の出版に伴って、黒河内真衣子がセレクトした本から16 冊を厳選。いまの時代とリンクする4つのテーマで紹介する。

料理や花、身の回りのすべてに美は潜む。 「色」に気付きを得る黒河内真衣子のように、この時代こそ、日々の輝きを見逃さずにいたい。


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『消えないレセピ 娘へ継ぐ味と心』
野村紘子著 文化出版局刊 ¥2,750
少し前まで、料理はネットで検索するものではなく、母親から受け継がれるものだった。 著者が母から教えられたのは、食材の命に感謝し、おいしく食べるための献立を工夫すること。本書は日本人の感性に寄り添いながら、月ごとに家庭料理のレシピを紹介する。四季折々の生花や食卓の設えもまた、日常を丁寧に楽しく暮らす愛情にあふれている。娘・友里、息子・訓市が寄せた文章も心温まる。

『物物』
猪熊弦一郎集 ホンマタカシ写真  岡尾美代子選 堀江敏幸文 菊地敦己編  BOOK PEAK刊 ¥3,080
現在、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に収蔵されている膨大な画家のコレクションの中から、稀代の雑貨コレクターであるスタイリストの岡尾美代子がセレクトし、ホンマタカシが撮影。猪熊が戦前に暮らしたパリの敷石や牛乳瓶、ニューヨーク時代に出合ったアーリーアメリカンの生活道具など、何気ない日常のノスタルジーが詰まった愛すべきものたちを、新たな視点で選んだ編集の妙が興味深い。

『新訳 茶の本 ビギナーズ 日本の思想』
岡倉天心著 大久保喬樹訳  KADOKAWA刊 ¥748
明治に活躍した美術運動の指導者で、文明思想家である岡倉天心の名著を、比較文化を専門とする大久保喬樹が新訳。維新によって近代化の一途を辿った時代、日本文化の源流を説いた天心の言説は当時、日本よりも国外で評価された。1世紀を経たいま、グローバルな視点を持った訳者による天心の言葉は、決して古びず真に迫るメッセージを届ける。茶の心を通して、世界の中の日本を眺めたい。

『川瀬敏郎 一日一花』
川瀬敏郎著 新潮社刊 ¥3,850
艶やかに花開く時を待ちわびる椿の蕾、虫食いでレースのようになった葉、最後の命を振り絞るように枝に留まっている紫陽花、オブジェのように優雅な曲線を描く蔓もの……不世出の花人は、瞬間の命の輝きを鮮やかに切り取ってみせる。ページをめくる度、今日一日を精一杯生きること、自分の花を咲かせることの尊さに思いいたる。日本人の感性を養ってきた植物の多様性にも目を見張る。

*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋

photography: Masahiro Sambe styling: Yumeno Ogawa text: Junko Kubodera cooperation: ew.note, tmh.

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