40代女性にとって、女同士の友情とは？

打ちのめされることも多い40代女性たちは、この激動の時期を乗り切るために友情がいかに大切であるかを実感している。女性が互いに助け合い、自分自身を解放するための真の空間を読み解こう。

40歳で子どもがいて時間がない女性たち…でも絶対的な友情がある。photo: Getty Images

「私の親友のアレクサンドラは、アトランタに住んでいます。彼女はこの夏、1週間だけフランスに一時帰国しました。彼女は子どもを両親に預け、私は自分の子どもを夫に預けて完全フリーになり、まるで20歳の頃のように楽しむことができました」とアンヌ=ロールはいまでも信じられない様子で語る。レストランやビーチに行ったり、食後のドリンクを飲んだりして「かつてのように」楽しんだという。

42歳のパリジェンヌ、アンヌ=ロールは、6年前にフランスの南東部に移り住んだ。地理的に離れていること、3年前に息子のローンが生まれたこと、生活の目まぐるしい変化のなかで、2人の親友と会う時間が減ってしまった。しかし、年に一度は集まるようにしているそうだ。「（南西フランスの）ビスカロッスに住んでいる親友に2人目の子どもが産まれたばかりなので、なかなか難しいですが…」と残念がる。

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健全な人間関係

アンヌ=ロールと同じく、多くの40代の女性たちは、友人に会いたいと思ってもなかなか会うことができない。時間がないから？　立て込んでいるから？　それほど望んでいないから？　仕事の締め切りに加えて、家族を抱えていることも多い彼女たちの予定は常にいっぱいで、1分1秒の余裕もないのだ。

食品業界のマーケティングマネージャーのカロリーヌは、7歳と9歳の子どもを持つ母親でもある。夜遅くまで働くこともあり、放課後に子どもの面倒を見るお手伝いさんの存在もあるが、友人と一緒に飲む時間を作るのは難しいと認める。「直前になって誘われても、日常生活から離れて、急に夫に子どもの面倒を見てもらったり、ベビーシッターを呼んだりする気力があるとは限りません」

それは当然のことだ。精神科医のフランソワ・ブルギニョンは、「同時にたくさんのことを抱えている時は、友情は二の次になってしまう」と分析する。40代女性の多くは母親であり、忙しく過ごしているため、友人との関係を築く機会があまりない。「危険なのは、思うようにコントロールできないことを口実に、関係を完全に放置してしまうことです」

アメリカの精神科医ロバート・ウォルディンガーの研究によると、強い友情は私たちをより幸せにし、健康を増進させるという。1938年からハーバード大学の学生724人を対象に行われた大規模な調査では、最も幸せで健康な学生は、友人関係や恋愛関係など、他の人との親密な関係を長期にわたって維持していることがわかった。

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友情vs愛

「米ドラマ『フレンズ』のような世代を超えたシリーズの成功により、私たちは友情が生ぬるい感情ではないことを理解しました」と、哲学者で書籍『Le Lien d'amitié, une force d'âme』（友情の絆、心の強さ：Plon刊、2016年）の著者であるミシェル・エルマンは考察する。

「以前の西洋文化では、充実感の指標はむしろ愛でした。しかし、その気持ちが必ずしも運命そのものではなく、友情の中でも自分を満たすことができることに気付きました。いまでは、友人関係は以前よりもずっと中心的なものになっています。40代になると、恋の挫折を経験することが多くなる。友情があるからこそ、私たちは大切な交流を保つことができ、社会的動物としての欲求を満たすことができるのです」

ポッドキャスト「Philosophy is Sexy」の制作者である哲学者のマリー・ロベールは次のように述べる。「女友達と一緒にいると、仕事上の野心や自立、母親としての役割など、女性に課せられた現代社会におけるプレッシャーから離れて、一個人として完全に存在することができます。これにより、自分自身を完全に表現できる空間が生まれるのです。友情においてもそれを忘れてはいけません」

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ちょっとした気楽さ

若いころに築いた友情が弱まる一方、日常生活の経験を常にシェアできる人々との間に深い人間関係が生まれることがある。会社の同僚、ママ友など、新たな友情は、同調効果があり、お互いを助け合い、キャリアや子どもの教育などさまざまな人生のステージでの助けとなり、40代という濃厚な時期のうれしいギフト、もしくは少なくとも負担を減らしてくれるものだ。

パリに住んで約20年になるオーレリーは、ここ数カ月で、子どもの学校の母親たち6人と新たなサークルを結成した。テレワークの普及に伴い、お互いの家や近所で定期的にランチタイムを設けている。「とても素敵な集まりで、1日の中のクールなひとときを楽しんでいます。ランチタイムは、すべて計画的に進めないといけない夕方よりも、少しだけ時間に余裕があります」

時間から切り離されたこの瞬間は、無駄なものではなく、必要不可欠である。「学校でお母さんたちと会うと、学校の休み時間や週末、子どもたちが観ている番組のことなどを話します。お互いにアドバイスをしたり、同じようなことを経験していることに気付いたりすることは良いことです。友情は心の余裕や人生を救う明るさをもたらします」と心理学者のセシリア・ギヨは言う。

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新たな距離

「一人で何でもこなせるスーパーウーマンの支配の時代は終わったのです」とマリー・ロロベールは言う。「私たちのライフモデルは非常にハードであり、サポートが必要であることを、みんな実感しています。人生には他人が必要です。40歳になる頃には、別居や多忙な仕事など、多かれ少なかれ人生の試練を経験しています。あらゆることが不安定になっている世の中で、友情は、他の分野で起こり得るあらゆる問題から解放された真の安全地帯です。それは無条件の最後の空間なのです」

逆説的ではあるが、この強さによって、30代の「みんなと仲良く」から解放され、一人ひとりのニーズ、選択、進化をより重視し、新たな関係性の距離を保つことが可能になる。「友情は誰にとっても同じ重要性を持つものではないからです。友人に与えたい友情の重みや友人との距離は、それぞれが決めてください」とフランソワ・ブルギニョンは説明する。

40歳という年齢は、特に多くの女性たちが母親業に忙しく、自分の存在感を柔軟にできる年齢なのかもしれない。出産後、アンヌ=ロールは仕事をやめ、日々会っていた友人との付き合いを控えていた。「“息子と一緒にいたい”という直感的な欲求がありました。疲れていたし、服を着る気にもならなかったので、出かける気にもならなかった。一人で縮こまっていました。代わり映えのない日々を過ごし、母と子のふたりきりになっていたのです」。2年間、彼女は子どものために100％の力を注いだ。ミシェル・エルマンは、「私たちが直面する選択は、関係を築くために必要な現実的空間と精神的空間の両方を奪ってしまい、友人を遠ざけてしまう可能性があります」と述べる。

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新たなつながり方

時間を見つけてお互い会うこと、罪悪感の少ない新たな方法を考案することで、お互いに会う喜び、優しさ、あたたかな眼差しだけをシェアし、残すことができる。

マルセイユに住む40歳のローラは、大学の工学部で知り合った6人の女友達と一緒に毎年少なくとも1回は週末に、時には海外で過ごすようにしている。8歳と10歳の子どもを持つローラは、「この数日間は、純粋に自由な時間を過ごすことができます」と語る。希少で貴重な瞬間だ。「それ以外の時間は、スカイプでおしゃべりしたり、手紙のやりとりをしたりしています。私たちはWhatsApp（ワッツアップ）グループを作り、常に連絡を取り合っています。いまでもお互いを思いやっていますが、その方法はかつてとは違います。重要なのは友情です」と彼女は言う。