ビル・ゲイツの娘の心を射止めた、エジプト人騎手の横顔。

Culture 2021.10.20

5年前から交際を続けてきたジェニファー・ゲイツとナエル・ナサールが、10月16日、ニューヨーク州南東部のウェストチェスター郡で結婚式を挙げた。大富豪の御曹司でベテラン馬術選手のナエル・ナサールのパーフェクトな経歴を振り返る。

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ロンジン・グローバル・チャンピオンズ・ツアーに参加するジェニファー・ゲイツとナエル・ナサール。(パリ、2021年6月27日)

彼はジェニファー・ゲイツだけでなく、義理の両親となるビルとメリンダのハートも射止めた。30歳のナエル・ナサールと25歳のジェニファーとの挙式は、ニューヨーク市の北に位置するウェストチェスター郡に新婦が所有する馬場を併設した農場で、10月16日に行われた。5年前から交際を続けるエジプト人馬術選手のナエルと医学生のジェニファーは、1600万ドル相当の私有地に招待した大勢のセレブを前にして愛を誓った。

ジェニファーの父親はマイクロソフトの創業者で億万長者のビル・ゲイツだが、ナエル自身も裕福な家庭の出身だ。1991年1月21日にシカゴで生まれたプロ馬術選手のナエルが幼少期を過ごしたのはクウェート。エジプト人の両親はクウェートで建築デザイン会社を経営し、一代で財産を築いた。自分が成功したのは両親のおかげとナエルは発言している。

 

 

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抜きん出た馬術師

ナエル・ナサールが馬術に目覚めたのはまだほんの幼い頃だ。地元の馬術クラブに入部し、5歳で馬に乗り始めた。両親から最初の馬をプレゼントされたのは10歳のとき。馬術選手になると心に決めた。数年後、一流の指導者のもとで訓練を受けるためにヨーロッパへ渡る。2009年にアメリカに戻ったナエルはカリフォルニアに定住し、翌年には競技会デビューを果たす。3カ国語を操る(グローバル・チャンピオンズ・リーグに掲載されている履歴によると、フランス語、アラブ語、英語を流ちょうに話す)青年はたちまち頭角を現わす。2011年、アブダビで開催された国際馬術連盟(FEI)グランプリで初優勝を飾る。2012年には、ロンドン・オリンピックにエジプト代表として出場している。

 

 

1年後、ゾエティス100万ドルグランプリで優勝し、同年に開催された障害飛越世界選手権で決勝に進出した。2014年と2017年にも決勝進出を果たした彼は、2019年2月にはウェリントンで開催されたロンジン障害飛越ワールドカップに愛馬のローダンとともに出場し、優勝を飾った。競技のかたわら2015年には馬主となり、誰もが羨む名馬を何頭も所有している。2020年、彼はオリンピック・エジプト代表チームの一員となる。エジプトが前回同種目でオリンピックに出場したのは60年以上前のことだった。会期中は自らのインスタグラムに頻繁に写真を投稿し、大会の様子を伝えた。

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共通の情熱

彼のインスタグラムのフォロワーたちは、ジェニファー・ゲイツとの交際初期からふたりを見守ってきた。馬たちの写真に混じって、ジェニファーの写真も時々投稿されている。そもそも未来の新郎新婦を結びつけたのは馬術への情熱だった。「馬術は私たちの人生の一部でしかありませんが、私たちはこのスポーツを愛しています」と、2019年にCNNのインタビューでジェニファーは語っている。「彼はプロ選手で私はアマチュアです。それなのに馬への愛情と情熱を共有できるなんて、驚くべきことです」

以来、6月のパリ・エッフェル・ジャンピングや、2019年5月にマドリードで開催されたグローバル・チャンピオンズ・ツアーなどの競技会で、ふたり一緒のシーンが撮影されている。ふたりが最初に出会ったのも2016年に行われた障害飛越競技会の会場だった。

 

 

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“きみなしでは生きていけない”

ふたりの交際が始まったのは2017年1月。その1カ月後にナエルはインスタグラムで交際を公表した。抱き合うふたりの写真には「僕は幸運な男です。こんな美しい女性が僕の今年のバレンティーナになってもいいと言ってくれた」という一文が添えられている。これがこの後、延々と続く愛の告白の始まりだった。その年の2月の投稿でナエルはジェニファーなしでは「生きていけない」と漏らしている。

2018年6月のスタンフォード大学学位授与式には、ジェニファーの卒業を祝うために彼も式典に出席し、SNSに投稿を寄せた。ちなみに彼自身も同じ大学で5年前に経済経営学の学位を取得している。

 

 

「僕はラッキーだ。彼女は美しい。そしてスタンフォードで学位を取得!」とインスタグラムにナエルは書き込んでいる。「ブラボー、愛する人。この4年間にきみが成し遂げたすべてのことに賞賛を送る。この素晴らしい旅をきみと一緒に続けて行くのが楽しみだ」

数カ月後の2017年12月、カップルはまったく別の旅に出発した。ふたりはナサール一家の足跡を訪ねるためにクウェートへ。ナエルはこのときにパートナーを身近な人たちに紹介した。みんなの反応は?「クウェートでは、家族や幼馴染たちと一緒に、忘れられない時を過ごした」と彼はインスタグラムで報告している。「ジェニファーを実家に招待して、彼女に僕がどんな子ども時代を送ったか見てもらえた。これは僕にとってとても大切なこと。みんなが彼女を好きになってくれたのは言うまでもない…。もちろんジェリーも(ナエルの飼い犬)」

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“彼女がイエスと言ってくれた!”

現在、障害飛越競技会の統計解析用アプリケーションを開発した企業JUMPRの代表を務めるナエルは、義理の両親とも良好な関係を築いている。ジェニファーの愛犬アールからも気に入られているようで、写真や動画に一緒に登場することもある。

そんなわけで2020年東京オリンピックの際に、ゲイツ一家が彼の試合の観戦に訪れたのも当然のこと。「オリンピックを見るのは大好き」と当時、メリンダ・ゲイツは興奮して語った。「でも東京オリンピックは私にとって特に記念となる大会。未来の夫@nayelnassarを応援できるのですから!ナエル(それからイゴール)、私たちみんながあなたを誇らしく思っています!」

ビル・ゲイツも世界ランキング44位のナエルに「幸運を祈る」とメッセージを送った。「現在、東京で多くのアスリートに声援を送っていますが、やはり娘婿の@nayelnassarを一番応援しています」。2020年1月、山に滞在した時にジェニファーに結婚を申し込んだナエルは、すでに義理の両親の祝福も受けていたというわけだ。

 

 

「彼女がイエスと言ってくれた!」雪の中で撮影したカップルの写真に彼はそう書き添えた。「ジェン、きみは僕の夢そのもの…、いやもっとそれ以上だ(…)。きみのいない人生はもう想像できない」

ジェニファーも「なかなかユニークな人」という彼のことを褒めちぎったうえで、彼に「すっかり参ってしまった」と告白している。「これからの人生を一緒に過ごして、学び、成長し、笑い、愛し合って行けるのが楽しみ。百万回でもイエスと答えるわ」とリアクションしていた。

text : Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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