バンクシー、土産物Tシャツで地元ブリストルの裁判に物申す?

行動を起こすたびに話題となるストリートアーティストのバンクシー。今回は彼の手がけたリミテッドエディションのTシャツがニュースとなっている。

ことの始まりはイギリス時間の2021年12月10日の夜。自身のインスタグラムにTシャツの画像をアップ。そこにはこんな文字が書かれていた。

「ブリストンのコルストン像を撤去した4人の裁判が来週から始まる。それに向けて土産物Tシャツを作った。販売は11日から。その収益は被告人への寄付とする。その金で彼らは飲みに行けるはず」

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銅像の台座にロープが残り、周りには破損した欠片やデモのプラカードが散乱。そんな殺伐とした場面の上には土産物Tシャツさながらの、のんびりとした「BRISTOL」の文字が。そのギャップがシニカルかつユーモラスで、バンクシーらしさが炸裂。

コルストン像の撤去とは、昨年6月にBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動を受けて、市内中心部にあった17世紀の黒人奴隷の商人エドワード・コルストンの銅像が、抗議する人々の手によって台座から引きずり落とされた事件のこと。その後、像はブリストル港まで運ばれて、市内のエイボン川に投げ込まれた。

事件の中心人物として「ブリストル・フォー」と呼ばれる4人が、市の所有する銅像などを破損したことを理由に警察から訴追されており、その裁判が今週始まるとみられている。

バンクシーはもともと、コルストン像撤去に強い賛同の姿勢をみせており、昨年この事件のあった2日後にはインスタグラムに像を引き落とす人々のイラストとともにこんな皮肉を込めた投稿もしていた。

「コルストンの銅像が無くなって惜しむ人とそうでない人両方が満足する、台座の再利用アイデアを披露したい。銅像を川から拾い上げて再び台座に置く。コルストンの首にはロープを巻いて、引き落とそうとしている人々の姿も等身大で作って追加する。これで誰もがハッピーになるし、あの素晴らしい日の記念ともなる」

 

 

今回のTシャツは11日にブリストル市内のレコード店ラフ・トレードなど5つのショップで販売。各店では数百人が列を作り、即日ソールドアウトとなった。

そしてこのTシャツは、早くもネットオークションサイトにアップされている。もともとは25ポンドで売られていたのにもかかわらず、多くの競売価格はすでにプレミアムをつけて1,000ポンド(約¥150,000)からスタートとなっている。

ともあれバンクシーはこの販売を通して「ブリストル・フォー」への支援を軽々と実現した。そしてブリストルの住民はもちろん、イギリス中の人々にBLMの一環で起きたコルストン像の事件を再び思い出してもらい、今回の裁判への注目をさらに集めることにも成功したというわけだ。

text: Miyuki Sakamoto

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。

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